321 佐渡紀行

今回のミュージックケア大会は新潟市で行われました。東京でのスケジュールをこなし、大会まで2日ほど時間があったので、その間に、佐渡研修を企画しました。

あまりに急に思い立ったので、もちろんレンタカーを予約しようとしましたが、最安値のレンタカーはすでになく、でも、最安値の設定として、他のクラスの車が借りられることに(車種は選べないとのこと)なりました。

久々の船旅です。

「出航に当たって、ドラを叩く体験があります。」とのアナウンス、さっそくその場所に向かいました。

ドラの中心を叩くのではなく、中心から少し離れたところを叩くのがコツとのこと、子どもたちの後で早速体験しました。なるほど中心を叩くと単純な音ですが、離れたところを叩くといわゆるドラの音です。最初は性格通り、おとなしく数回たたいていましたが、「思いっきり何度でも叩いていい。」との指摘があり、再度、思いっきり叩かせていただきました。

ゴングは真ん中を叩くことでいい響きがするという常識を真っ向から覆す体験でした。

現在はこのドラを鳴らさずに、録音されたドラの音を聞きながら、船は出航していきました。何とも複雑な思いでしたが、帰りのフェリーはこの体験すらありませんでした。

船は、カモメたちの伴走をともないながら日本海の静かな海をすべるように進んでいきます。

冬は荒波で欠航することが時々あるそうです。

突然、携帯が鳴りました。取れずに後で見てみると、レンタカー屋さんからの留守電が…

「1トントラックなんですが、よろしいでしょうか?」とのメッセージが入っていました。

ちなみに、昔はフェリーに乗るとポイントから離れるため、電波が届かなくなっていましたが、なんと、佐渡汽船の中は電波が通じます。おまけに、フリーWi-Fiという、考えられないサービスです。

俺は男だ、1トントラックなんて何のその。昔のトラック野郎の血が騒ぎます。

島について、トラック野郎になって、とりあえずホテルに荷物を預けていくことにしました。

ホテルと言っても、金沢旅館という古びた安い旅館です。フェリーが着く両津港に近いところはここしかなかったので迷わず選びました。荷物の持ち運びが大変ですからね。

荷物を置くと、さっそく島の南端の灯台に向かって出発です。途中、トキの公園の看板があり、さっそく寄り道することにしました。

昔、NHKテレビのドキュメントで佐渡のトキの話を放映していたのを思い出しました。

「メス1羽オス5羽ほど残った自然のトキをすべて保護し、繁殖を試みたけれどうまくいかず、日本のトキはすべて絶滅してしまった。」というところまではおぼろげに知ってたのですが、現在は中国から種として同じトキを譲ってもらい、繁殖を試みた結果現在は200羽以上に増え、自然の中に返されているそうです。ちなみに、日本のトキは佐渡島だけでなく新潟県以外にも広く生息していたそうです。それと同じように中国でも広い地域に生息していたのが、南の狭い地域にしか生息しなくなり、日本よりも早く保護活動が行われていたことで、日本にトキを送ることが出来るようになったそうです。

トキセンターを後にし、トラックでひた走ること1時間、最南端の岬にたどり着きました。

そこには、佐渡で一番高い灯台がそびえ、その下には、凝灰岩の岩々が海の中から顔を出していました。

誰もいない独り占め海岸の岩の上に腰を下ろし、沈みゆく夕日を眺めました。

岩の上には、くぼみがあってそこに水が溜まっていました。

そのみずたまりは、座禅岩(勝手に名付けました)に溜まった水を思いださせました。何年か前に登った月山の途中にあった岩です。

夕日は、ゆっくり、ゆっくりと沈んでいきました。

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