２０世紀初頭に興ったヨーロッパの芸術運動に大きな影響を与えたルドルフ・シュタイナーによって、オイリュトミー（良きリズムと訳される目に見える歌）は創生されました。

舞い手は弦や管の旋律、打楽器の響きそのものとなって動き、互いに寄り添い絡み合い、空間に広がっていきます。そして光彩は衣装の薄絹のヴェールの中に新たな色を生み出し、歌を歌い出します。“観ることの中で聴く”これがオイリュトミー体験です。

今回上演するドヴォルザークの“新世界より”は、数々の魅力的な旋律で世界中で愛されてきました。中でも“家路”で親しまれている第2楽章や多彩な旋律の饗宴の第3楽章は、欧米ですでにオイリュトミーとして舞台化されてきましたが、全楽章の上演は今回の日本公演が世界初となります。

シュタイナーは、シンフォニー（共に響き合う）オイリュトミーの中に“人間の姿”を観ました。どうぞ“今という時代”に、２５名のオイリュトミストによる“新世界”を、また多様な音楽や言葉の作品を、五感を超えて観て聴いて楽しんでいただけましたら幸いです。