ザーレムライア
2 【ザーレムライアー】ザーレムライアーについて
※2024年1月31日をもちまして、ニーダー氏制作によるザーレムライアの受注は終了いたしました。こちらのページは参考のためこのまま公開しております。今後はペロルにてザーレムライアを引き継いだライアの制作を予定しております。
目次
※ザーレムライアの魅力について、ペロルオーナー井手芳弘より
ご紹介します。よろしければご覧ください。
ザーレムライアーの制作者は
ホルスト・ニーダー氏です。
ニーダー氏はライアの生みの親である
初代ゲルトナー氏によって
同じタイプのライアを作ることを認められた
三人のマイスターの一人で、
その中で、現在は唯一制作をつづけられています。
ゲルトナー氏によって生み出されたライアを
さらに発展させていこうと努力されています。
そのために、
形は殆どゲルトナーのライアと同じですが、
随所に彼の考えと経験が生かされています。
彼のこだわりはライアの本体のみならず、
ライア用の弦を自作してしまうほどです。
そして、現在様々なライアメーカーの
弦の相談にものっているそうです。
演奏家からのフィードバックを受け、
常に研究、改良を怠らない
制作者の姿勢がザーレムライアの一番の特徴です。
ホルスト・ニーダー氏の望みは、
広く音楽家の方たちに
自分のライアを使ってもらい、
その経験から様々な意見を聞くことで、
まだ生み出されて歴史の浅いライアを
より発展させ、完成させていくことです。
常に気持ちをこめてライアーを制作しているため、
制作意欲が低くなると、
他の作業をするそうです。
ライア制作時に自分の気持ちを込めていくことで、
魂のこもった楽器に仕上げていきます。
ニーダー氏はヨットのモデル製作の資格を持っていて、
実際にヨットの原寸大の見本を作っていたそうです。
その後ライアづくりを始めた経歴を持つ、
とてもオールマイティな人です。
とても好奇心が強く、
新たなものに取り組むパイオニア精神が旺盛で、
独自に弦を巻く機械システムを立ち上げて、
自分のライアの弦を自作するのみならず、
家の中にも、独自の冷暖房システムを自作したり、
自家発電できる温水設備を備えたりしています。
また、若い時に
日本を歩いて縦断したという
たいへんな親日家でもあります。
初代ゲルトナー氏のもとでライア職人として働いた後、
1980年にボーデン湖近郊の「ザーレム」
という町で工房を開き独立しました。
ザーレムライアという名前はここからきています。
さらに、隣町である、現在の田園地帯の中の
古い家を改造して工房と住居を作り、
ライア制作をしています。
工房のみならず、
音楽家たちとの交流の部屋も作られていて、
ジョンビリング氏をはじめとして、
世界中のライア演奏者や他のライア制作者とコンタクトを持っています。
それらの関わりの中から
より良いライアの制作に日々取り組んでいます。
特徴1.使われる材料
カエデ材に関しては
バイオリン職人と一緒に一本の樹を買い、
共同で製材し、それをとても手の掛かる
伝統的な方法で乾燥させています。
そのほかの材料もそれぞれの材料に合わせた
特別な方法を使い、
長い年月をかけて乾燥させています。
また、そうやって乾燥させた板を加工して、
更に保管していきます。
ライアの形に加工した後のひずみを取るためです。
そうやって、手間暇をかけて安定して
響きのいい楽器が生まれていきます。
このような材料を使用しているライアメーカーはザーレムだけです。
ライアはバイオリンなどの弦楽器の
構造を手本にして作られたので、
バイオリンと同じようにフレームにカエデ、
表板にはトウヒが使われていました。
ニーダー氏は試行錯誤を重ね、
よりライアに適した他の材料を使用しています。
表板には菩提樹を、
裏板、側板とフレームにはカエデ、トネリコ、サクラ、ニレ、
などの木を使い、
それそれ特徴のあるライアを生み出しました。
ヨエックスライアはそれをヒントにして、
カエデ以外の材料を使い始めました。
特徴2.ライアの構造
表板と裏板の中央部を少し厚め
(場所によって厚みが違います)に作ることで、
弦の振動をしっかり受け止め、
木全体に染み渡るふくよかな響きが生まれています。
ライアのフレームの有機的な形は
一つ一つ手作業で仕上げられていきます。
そのことで、とても手になじみやすい
個性を持ったライアが生まれていきます。
従来のゲルトナーライアより
弦ホルダー(弦を通す底の部分)
の高さを高くすることで、
弦がブリッジ与える圧力を軽減しています。
そのことで、ブリッジに無理な力がかからず、
弦によるブリッジの摩耗も少なくなっています。
また、共鳴板を抑える力も小さくなっているため、
共鳴板の変形や割れなどのトラブルも起きません。
長年しっかりと乾燥させた良質の材を使い、
伸びたり曲がったりする木の性質を熟知した構造により、
楽器の変形や割れなどのトラブルが殆どおきません。
特徴3.接着剤
接着剤は耐水性のボンドが使われています。
普通のボンドに比べ接着性に優れ、
湿気によるトラブルもありません。
日本などの温度や湿度の変化の激しいところでも
トラブルがおきにくくなっています。
特徴4.塗装
楽器にはなるべく薄くて軽い塗装が理想的です。
ザーレムライアには、
高級なバイオリンに使われている
伝統的なバイオリン塗料が使われています。
表面にはやや光沢があり、汚れが付きにくくなっています。
塗っては乾かし研磨する、という工程を
何度も繰り返し、仕上げられています。
とても手間のかかる塗装方法です。
そのことで、楽器の響きに良い影響を与える、
薄くてしっかりとした塗面を作り出しています。
表面には落ち着いた光沢があり、
従来のオイル樹脂塗装
(2010年ごろまでのライアは、オイル樹脂塗装されており、
ワックスで拭き上げられています)
に比べ、汚れが付きにくくなっています。
表面にワックスをかける必要もなく、メンテナンスの手間がかかりません。
ザーレムライアとほかのライアの響きの違いほど
大きくはなく、微妙な違いです。
あくまで目安として、
選択の際の手助けとしてお考えください。
材料による価格の差はありません。
表板の菩提樹と色合いが似ているので
全体的な統一感があります。
音色:他の材質に比べ一番バランスがいいといわれています。
特徴:一般的にライアに使われる材料で
バイオリンやチェロなどの弦楽器にも使われています。
とても堅い木です。
上製のライアに使われている材料には
美しい斑(ふ)
(板の表面がまだらに輝いて見えるもの)が入っています。
ケヤキの色を白くした感じに似ています。
カエデ同様、前板の菩提樹との一体感があります。
音色:やや硬めで、切れがよく、
明るく、早い演奏を要求されるプロや
上級の演奏者のニーズに応えられるものです。
特徴:野球のバットの材料になるほど堅い木で、
カエデより堅く、重い木です。
そのため、表板の菩提樹と
少し色合いの違いがわかります。
音色:柔らかく、響きに余韻があります。
ゆったりとした温かい演奏に適しています。
特徴:カエデやトネリコなど他の材料に比べると
やや軟らかい木です。
上質で硬質なサクラを用意していますので、
上製のみの扱いとなります。
表板の菩提樹とかなりの色の差があります。
音色:トネリコのように硬質で明るい音がします。
特徴:木にたくさんのミネラル分を含んでいて、
とても堅い木です。
他の木に比べ湿気による変化が小さいため、
湿気の多い国にはこのライアが送られています。
【木の種類と特徴】
【材質による響きの違い】
(ソロバスライアにはありません。サクラは上製のみです)。
どちらもライア本体の構造はまったく同じで、
同じ工程を経て作られており、
塗装、弦やピンも同じものが使われています。
違う点は使われている木のグレードと
ライアを入れるケースの違いです。
少しずつ大きくなった木が使われています。
そのために木目が詰まり複雑になっていて、
ほとんどの場合、斑(ふ)が現れています。
斑(ふ)とは写真に見られるように、
木目に対して垂直方向に現れる木質の明暗の模様で、
とても美しいものです。
木の繊維が波打つように通っているために、
カンナをかけたりする作業がとても難しくなります。
大きくなった木が使われています。
そのために木目が単純で
木目の間隔が広いものが多くみられます。
黒のケースが付きます。
このケースは手で下げる以外に
肩ひもで下げられるようになっています。
チャックの付いた楽譜を入れるスペース(ポケット)があります。
留め具は一か所で、あとはチャックで開きます。
樹脂製のシートが張られています。
金具で三か所留められています。
肩ひもや楽譜を入れるスペースはついていません。
・調弦キー:
布の面で弦に付着した汚れを拭ったりすることができます。
弦の裏側や弦と表板の間をクリーニングすることができます。
仕様は上製版と普及版で異なります。
どちらも調弦キーやチューナー等の小物が
入るサイズのボックスが付いています。
湿度計が付いたものもあります
(お選びいただけません)。
鍵が付いており、施錠して保管することも可能です。
個体差はありますが、
上製版ケースの方が重いです。
例:ソロソプラノケース
普及版:2.6kg
上製版:3.0kg