いよいよゴールデンウィークです。
子どもたちも楽しい思い出が出来るといいですね。
私井手は、私が作ったペロルソロソプラノライア第一号を
いろんなライア演奏者の方に試奏していただいています。
先日は、『千と千尋の神隠し』でライアを演奏された
木村弓さんのところに行き弾いていただきました。
とても喜んでいただきました。

今回は、<どんなところでペロルライアができているか>をご紹介をします。
ペロルの店舗は福岡市内の西の方にありますが、
ライアを作っている工房はそこから45㎞程離れた
佐賀県の唐津市のはずれにあります。
3階建ての住居の1階を工房にしています。
ニーダー氏がザーレムライア工房を「世界の果て」と呼んでいましたが、
ここペロルライア工房も結構田舎にあります。

すぐ側には国道があり、車もよく走っていますが、
工房の先には野球グランドがあり、川につながっています。
側には小さな公園もあり春は桜がきれいです。
川べりの堤防を散歩することもできます。
何よりの自慢は、ほとんど人がいないのでのんびりと出来ることです。
夜は、天気がいい日にはたくさんの星を見ることができます。
夏は天の川がきれいです。

そんな中で、ペロルライアの制作を進めています。
3階建ての建物の1階が工房です。
以前から家具を作っていたこともあり、
様々な機械や木が所狭しと並んでいます。
ここでは、ライア以外にも、
クロッタやヒンメリスタンドなどの
ペロルのオリジナル商品も作っています。
窓から見える、季節ごとに顔を変える木々や植物たちが
心を和ませてくれます。

工房の中や隣の建物の中にライアとなる木が保管され、
楽器に生まれ変わるのを待っています。
どの木も長い年月を経てしっかり乾燥した厳選されたものです。

そういう環境の中で、
ペロルライアが生まれています。
機械を使って木を切ったり削るときの音、
手作業で、形を整えたり、塗装したりするときの静けさ。
弦を張ったライアから生まれてくる音、
工房はたくさんの音に耳を傾けてくれています。

ライア作りは木の選択から始まります。
木目の方向を見ながら、部材となるブロックを切り出します。
木は一枚一枚違う表情をしているので、
よく見極めなければいけません。
切り取ったら機械で厚みを揃えていきます。
それから、溝切などの加工をしたのち、組み立てていきます。
ベンダーアイロンという道具で
薄い板を何枚もライアの形に合わせて曲げていくという作業もあります。
それを貼り合わせてライアの形にしていきます。
ライア本体と共鳴板を貼り付ける際の繋ぎ目の加工も大変です。
ほんの少しでも形が違うと隙間ができてしまいます。
どの作業をとっても、集中力が必要な緊張感あふれる作業です。
終わった後はへとへとですが、
何とも言えない、気持ちになります。
大げさかもしれませんが、
瞑想をした後のような心地よさです。
これらの作業の一つ一つクリアーしていきながら、
完成に向かって進んでいきます。
作業をしながら、時々、
ニーダー氏の作業をしている姿と南ドイツの工房の空気を思い出します。
「世界の果て」と彼が呼んでいた、あの場所の静けさを。
今はこの離れた地で新たな物語の始まりです。
全体を組み立てた後は形を整える作業です。
手作業で形を削りだしていくので、
これもまた大変です。
自分の感覚だけが頼りです。
細心の注意を払いながら、
ライアを磨き上げた後に塗装の工程がやってきます。
塗装は特に手間のかかる工程です。
自然由来のバイオリンニスを、薄く、丁寧に塗っていきます。
一度塗ったら、乾くまで待ち、
乾いたら磨く。
この工程を何度も繰り返します。

塗を重ねるほど、ライアに深みと輝きが増していきます。
楽器として生まれていくのを感じます。
良い香りに包まれながらの作業はとても心地良いものです。
そのあとで、
フレットの取り付け、
細いピンの取り付け、
チューニングピンの穴を開けてピンの取り付け、
ライアに合うようにブリッジの底の調整、
などの工程を経て、いよいよ弦張りです。
緊張の瞬間です。
どんな響きが生まれるか、期待が高まります。
調律を終えて、最初に音を出す瞬間。
これが、楽しみでもあり、緊張でもあります。
ライアが、世界に向かって産声を上げる瞬間です。

ニーダー氏からの
「ライアの本当の響きを日本で受け継いでいってほしい。」
という願いを受けて、日本でライア作りを始めました。
「ライアとは発展途上の楽器である。」
とニーダー氏は語っています。
ライアに求められている、人を癒していく響き、
その人の内面を生き生きとさせてくれる
響きの本質を求めながら進んでいきたいと思います。
ありがたいことに、皆様からの信頼を受けて、
すでに10台以上のご注文をいただいています。
この佐賀の小さな工房で生まれたライアが
日本の各地に届けられ、
そこで響きを生み出していくと想像するととても嬉しくなります。
一つの作業に集中して沈潜していくことで、
日本中のみなさまとつながっていくことはとても不思議なことです。
より深い響きを目指して、
日々制作に取り組みたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
2026/05/01井手芳弘
