それは、夏至の前日のこと、雨交じりの濡れた道に一匹のアオスジアゲハが止まっていた。「久しぶりにアオスジアゲハ!」と早速カメラを構えた。 雨の中、足早に通る人が蝶々に気づかずに、撮影を邪魔していることを気遣って、「すみませ
おとぎ話などでよく小人さんが出てきます。子どもたちは、小さい頃は小人さんを信じていますが、大きくなると「小人さんなんていないんだ!」「そんなものは作り話だ!」と言い出します。 でも大人は、すでに小人さんの存在を信じていな
今年の節分もたくさんのお父さんたちが鬼に扮して、子どもたちに豆を投げつけられたことだと思います。いまでも、こういう形で節分のお祭りが残っているのはうれしいことです。その行事について、あるとき一つの問いが生まれました。「鬼
今年もソメイヨシノが満開を迎えた。 いたるところで、その美しさを誇っている。 桜の花が咲くこの時期になるとよく思い出すことがある。 そう、それはずいぶんと前のこと。 私の祖父の話だ。 祖父は明治生まれの厳格な人間で、私に
そう、それは山間の道を車で走っているときのこと。 曲がりくねった細い道を降り、谷間の渓流にかかる橋を渡り、右に曲がった。 すると道のわきに一軒の小さな家があり、 そこにいる一人の男の人が目に留まった。 背筋をしっかり伸ば
宿を出ると、小川が流れている橋の向こう側の駐車場に向って歩き出した。すると、向こう岸近くの欄干に肘をついて、タバコを吸っている人に気が付いた。 その人は、いたずらっ子のような目つきで、私を見た。 あの人だ、と私は直感した
180 光と色の話・10 いい天気だ…… 「……」 「まだ、ボーッとしてるの?」 ふと思い出した。 「今度は何?」 おじいさんのこと。 「エッ?パパにもおじいさんいたの?」 「そういえば、年をとると昔のことを思い出すって
130 秋は空と影の季節? 秋は空が高いといいます。 どういうことだろうかと考えます。 確かに、夏の間地上の近くにあった地方雲(井手命名)が消え去り、 その上に幕のように存在している中間層の薄いリズム雲(井手命名)が に
106 虹色の雲の故郷 空に浮かぶ虹色の雲 誰もが、目を疑いたくなるような美しい色合い。 ワインレッド、トルコブルー、エメラルドグリーン、コハク、 言葉では言い尽くせない色合いが空のはるか高みに浮いている。 それは、空か