一年ぶりにまたヨーロッパにやってきました。

毎年のことですが、今年こそは早く準備しようと考えたのですが(相変わらず毎年そう考えています)今年は、特に遅く飛行機を取ることになりました。それでも何とか、それほど高くなく、チケットを取ることが出来ました。

今年の最初の研修地はチェコのプラハです。プラハといえば音楽の都というイメージがあります。もちろん、ウィーンもそうですが…

宿も前日に川沿いの眺めがいいところを取ることが出来ました。

ハイシーズンではないので、直前でも結構宿をとることが出来るようです。

宿についたのは夜遅く、窓を開けるといい眺めでした。

眺め大好きの私にはまたとないことろです。

次の日、ミュシャ美術館に行きました。


ホテル、といってもアパートの1室の間借りですが、そこから古い有名な橋を渡り、

旧市街のたくさんの人ごみの中を通り抜け、さらに、少し行ったところにミュシャ美術館がありました。ミュシャがチェコの人だったとは全く知りませんでした。

途中で「ミュシャ美術館はどこですか?」ときいたのですが通じません。

何度も「ミューシャミュージアム・ミューシャミュージアム」といった挙句、「ああムヘァね」と言われました。どうも、かなり発音が違うようです。ちなみにインターネットでミューシャと調べると、歌手のミーシャしか出てきませんでした。

小さな美術館で、ミュシャの作品もそれほどたくさんはありませんでした。

それでも、オリジナルのリトグラフの色合いとその線はとても繊細でありながら力強さを持っていました。特に人物の輪郭をはっきり太い線で描いていますが、全く違和感がありません。逆に人物が浮き上がる感じです。隣にあった人物の輪郭をはっきりと描いていない絵と比べて、はるかに生き生きとしているのが不思議です。

ずっと見ていてふと、浮世絵の影響がかなりあるのではないか、と思いました。

日本ではあまり紹介されていない、その後の彼の作品も展示されていました。

その後は、ボヘミアの貧しい人々を題材に大きな油絵をたくさん描いたようです。

ただ、やはりパリ時代のリトグラフのすばらしさ、と比べると見劣りするように感じるのは私だけでしょうか?

一つのリトグラフの作品の隣に原寸大の下書きの絵が展示されていましたが、どう見てもリトグラフのほうがはるかに勢いがあります。

彼がどのようにして作品をより研ぎ澄ましていったか、を見ることが出来てとても興味深かったです。

彼の生涯のビデオを見た後、もう一度作品を見て、今度はショップに行ってみました。

実際の作品と印刷されたものが違うので複製を買うことはないのですが、

中に入って、複製画を見て、その違いに愕然としてしまいました。

なんと表現したら良いのでしょうか?

表面を光で撫でた、とでも表現したらいいのでしょうか?

紙の上に光の粒を写して乗せたと言ったらいいのでしょうか?

オリジナルよりはるかに色が鮮やかで濃くて、華やかな感じがしますが、

自分から作品が遠く離された感じがしました。

そこで再び絵を見に行って作品を確かめました。

そこにあるのはとても質素でシックなリトグラフです。

どの複製画のものだか、記憶と一致しません。

今度は複製画のところに行きます。

もう、オリジナルの色合いを思い出すことが出来ません。

三原色に分解して、それを再生したものがこれほどにまで違うことに、

愕然としてしました。紙の上に色のカバーをかけたように見えます。

印刷に限らず、電子データになったものも同じようなものなのだろうな、と改めて考えさせられました。

このミュージアムでは写真撮影ができなかったため、ミュシャの画像を載せることが出来ませんでした。

ウィーンのクリムトはOKだったんですけどね。

写真との違いを書いているので、写真を載せると矛盾するかもしれません。

       2019.04.19 井手芳弘

つれづれ361 プラハ」への2件のフィードバック

  1. ミュシャ展、日本で開催された時に見ました。
    リトグラフが有名ですが、大きな油絵が迫力でした。
    今月23日(火)から上野でクリムト展が始まります!
    クリムトの感想もぜひ伺いたいです。

    1. 木村美雪様
      コメントありがとうございます。
      ミュシャ展、大きな油絵も来ていたのですね。
      クリムトは昨年ウィーンで見ました。
      クリムトの有名な接吻の絵はまるで、新しい時代の到来を予感するかのような、
      無意識からの交信が時として雑音として混ざりこみ、絵を非現実の中へとと気を失わせていくようでした。
      それと、ヨーロッパ的なものとは全く違った、日本の文化がクリムトの意識の中へと侵入してきて何か、得体のしれない興奮を味わっているようでもありました。

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