三浦さんの話は続きます。

わたしも少し木工をするので、

どのように作られるかある程度は想像がつきます。

でも、制作工程の話を聞くにつれ、唸ってしまうことがたくさんです。

「こいのぼりはね、中心をずらして2回ろくろで挽いてるのさ。」

確かに波のようにSの字を描くこいのぼりの形はそのままのろくろ挽きではできません。

また、「ストラップの付け根のところは鈴のオブジェクトの部分より手間かかるんだわ。」「全く目立たんけどね。」

うーんとうなってしまいます。

「木地師はね、どれだけ手が覚えてすばやくできるかが勝負なんだわ。」

「速くできれば、そんだけ仕上がる量が違うからね。」

見習いからたたき上げてきた三浦さんの言葉です。

若い時に独立し、家具屋さんの仕事を受けてきた三浦さんは、

旭川に木工芸のコンサルタントとしてやってこられた有名なデザイナーの方との出会いから、自分の持っていた仕事を全部弟子やほかの人たちに渡し、工芸品だけを作るようにされたそうです。

そこにはたくさんの苦労があったに違いありません。

「オレの作るものにはお話があるのさ。」

「森のさえずりは、入れる球はやっぱり2つなんだわ。」

「どんぐりコロコロは、木からドングリが落ちてくるからやっぱりどんぐりんなんだ。」これ、ビー玉落としてもなかなかうまくいかなくて、ある日、中に鈴が入ったのを落としたらうまくいってね。」

「木の大きさに応じて枝の角度を微妙に変えてるんだ。」

「この類似品が出回ったことがあるけど、結局なくなってしまった。」

「そんなに売れないからね。」

三浦さんは笑いながら話します。

「さざなみは小川を石ころが転がっていく感じかな。」

試させてもらって、とても気に入ったのでペロルでも扱わせてもらうことにしました。

三浦さんの工房を後にして、

最初に ペロルゴマを作っていただいている工房に寄り

それから大きな木工所に向かいました。

木工所というよりは、どちらかというと工場です。

そこでは、たくさんの人たちが働いていました。

そこの先代の社長は、三浦さんと一緒に全国のデパートなどに出かけていって旭川の木工工芸品を紹介して周られたそうで、最初は小さな工房で夫婦で始められたそうです

今度は、若い作家さんのところに連れて行っていただきました。

これからの旭川の工芸を背負っていく方です。

これからの若い人たちを紹介して、応援していきたい、という気持ちが三浦さんの姿に見えます。

夜は三浦さんと一緒にお魚のおいしい店で心行くまでお話ししました。

お魚のおいしかったこと。

今度はいよいよ、ヨーロッパです。

2019.04.05 井手芳弘

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