今回はザーレム工房以外に、

ゴングを制作している
ゲオルグ・オイレンヴィンケル氏のところを訪ねました。

彼は、4年ほど鍛冶屋の修業をした後、
マンブレッド・ブレフェルト氏のところで、

4年ほど修行をした人です。

その後、ブラジルで活動し、

ドイツで4年ほど活動しています。

奥さんは大学病院で

音楽療法の仕事をされており、
専門は死にゆく人への付き添いだ、そうです。

ブラジル人の奥さんは

ブラジルで始まる公共の音楽療法大学の
中核メンバーとして採用されることになり、
7月にまたブラジルに引っ越しました。

「今度はブラジルで会うか、日本で会うかだね。」という話をしました。


彼はシュタイナー学校の中の

鍛冶屋の工房を借りて作業していました。

その工房を訪れてビックリ、

学校の工房というより、本格的な鍛冶屋です。
隣には立派な木工室もあります。


話を聞くと、

この学校では、

授業というは職人になるための準備をする
ところでもある、とのことでした。

道理で本格的なわけです。

彼は言います。

「金属は木の炎で熱せられたか、

木炭か、石炭かで響きが違ってくる。」

「どのように手が加えられたかが

すべて響きに表れてくる。」

「響きはそのものの本質を明らかにしていく。」

と言います。

「物や炎や空気や水を使って金属を鍛えていくとき、
私たちには見えないけれど、

四大の霊がそこに関わっているんだ。」

「ただの理屈ではなく、

物を通して明らかにされていくものがある。」

とも言います。


ブラジルに長くいたせいかどうかわかりませんが、
どちらかというとひょうひょうとしている彼の口から
全く違った言葉が出てきます。

彼は、銅のゴングの響きを聞かせてくれました。

ブロンズや鉄のゴングに比べてあまり響きません。

試しに作ってみたのかと

思ったら意外な答えが返ってきました。

「これは、死にゆく人たちのセラピーに使うんだ。」

というのです。

「彼らはとても敏感だ、

そんな彼らにはこの銅のゴングが適している。」

「とても親密に響くからだ。」

「心に問題を抱えた若者たちに楽器を選ばせたら、
この銅のゴングを選ぶことが多い。」とも。

何度もその響きに耳を傾けました。

確かに、とても身近な気がします。

そして、なぜ身近な気がするのかが

少しわかったような気がしました。

良く響くゴングが

外側に響いていっているのに対して、
このゴングは

自分の無意識の部分に向かって

響いて行っている気がしたのです。

「外側に向かう響きが内側に向かうため、

外的にはあまり響かないけれど、

とても親密な気がするんだ。」

ということに気が付いたのです。

この事を彼に話すと、

彼はニコッと笑って、「その通り」と答えました。

この事は、

私に響きについての新たな扉を開いてくれました。

2018.08.17 井手芳弘

つれづれ346 ゲオルグ1」への2件のフィードバック

  1. この記事は、本当に心に響きます。銅のゴングの響き、わたしは本当に大好きで、ゆるんで涙が出そうになったのを覚えています。
    いつかきっと、迎えたいです。
    井手さん、このゴングを日本に持ってきてくださって、本当にありがとうございます!

    1. なかうともこ様

      コメントに気づかず、返信が遅くなり申し訳ありません。
      つれづれを読んでくださりありがとうございました。
      気に入っていただけたようで、大変うれしく思います。

      私にとっても、まったく新しい響きの体験でした。
      いつか、なかう様のそばにもお届けできればと思います。

      大変な時期ではありますが、穏やかな春が訪れますように。

      ペロル いで

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です