福岡では新型コロナウィルスの感染者が日増しに増えています。

私は教室がお休みになり、

ひたすら楽器職人としての仕事に励んでいます。

ほとんど中毒状態で、

ほかの仕事は手につかず、

朝から夜遅くまで作業をしています。

「このままでは家にこもりっきりになってしまう。」

「ほかのことが考えられなくなる。」と危機感を募らせ、

まったく、人と会うことのない場所で、

(自宅周辺は田舎で、ほとんど人気(にんき)がなく人気(ひとけ)がありません)

八重桜の観察をすることにしました。

 

八重桜はソメイヨシノが終わったころに満開を迎えます。

毎年ドイツ研修からソメイヨシノの花が終わったころに戻ってくるので、

いつも八重桜が心を癒してくれています。

いつも眺めてばかりいるので、

今回はまじめに観察をすることにしました。

 

辺りに緑が出始めた中に八重桜の花びらの濃いピンクと葉のエビ茶色が

なんとも良い感じです。

花は八重なので光に透けません。透けた新芽の若葉の色が輝いています。

木や枝はソメイヨシノと比べて枝が太く、力強い感じがします。

近づいて見てみました。

枝の突端のつぼみから葉が出ているのは他のサクラたちと一緒です。

よく眺めてみると、枝の突端の芽の次のつぼみからは

ほとんど花がでています。

開いたつぼみから長い花柄(花の軸)が3つ、たまに2つ出ていて、

その先に花がついています。

ソメイヨシノの場合は3~5本の花が出ています。

途中、花の色が薄い八重桜がありました。

これも清楚でとても綺麗です。

そのつぼみから出る花を調べると、すべて2本です。

とても几帳面です。

二つ目のつぼみに花が咲いた後は、その枝の付き方に応じて

次に葉が出るもの花が出るものとバリエーションがあります。

上の方の元気よく伸びている枝は真っ直ぐで、二つ目に花がついた後は

葉が出ているものが多いようです。

この写真の枝は、途中に花が咲いているようですが、

途中に咲いている花は、主の枝の横についた枝の、

やはり2番目についています。

枝の伸びが小さいので、一見太い枝の途中についているように見えます。

下の方の龍の首のように伸びている枝の先には手毬のように花が球状に

ついています。

よく見ると、一年間に伸びた5㎝ほどの三つのつぼみ全部から

(枝の突端の葉を除く)花が出ています。

突端以外、すべて花になるので、枝分かれすることができず、

ただただ先を伸ばしていった結果、

このような龍のような動きが生まれてきます。

その状態で枯れてしまった枝もたくさんあります。

特別に花が集まった枝を見てみました。

なんと、枝先が変形していて短い2本の枝のつぼみから花が出ていました。

八重の花をよく観察してみると、花の中央だけでなく、

花の周りにぐるりと花を咲かせようとする力が働いているように感じます。

ちょうど、サイレンのラッパが周りにぐるりとついたような状態です。

中を探してみると小さなおしべの痕跡のようなものを見つけました。

八重ツバキの花ではこの形態がよりはっきりと観察できます。

さあ、戻って木工だ!

2020.04.17 井手芳弘

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