いつしか、暑い日々は通り過ぎて行きました。
季節は移り変わっていくものです。
中秋の名月も今年は遠慮してか、
遅めの10月にやってきました。
11月の十三夜の栗名月もスーパームーンの満月にかき消され、
ネット上ではどこにも話題に上りませんでした。

目立たない伝統は消えていくものなのでしょう。
街の中では星空はかき消されていきます。
私の住む田舎の唯一(?)の利点は星空が見えることです。
「夏頃の天気のいい日は天の川が見えますよ!」
と自慢すると、
「えっ、すごい!」
「まだ天の川見たことありません!」
という反応がよく返ってきます。
天の川がどんなものかわからないので、
出ていても見えていないかたもおられるか、と思います。

なんとなく、
最近、田舎を自慢でき易くなったような気もします。
時代のせいでしょうか?
歳のせいでしょうか?
私の親の世代では捨てていた古い家具などに、
子どもたちの世代が価値を見出だしているのも
面白い傾向だと思います。

夜空にはオリオン座が見えるようになりました。
オリオン座の右上にはおうし座、左上にはふたご座が輝いています。
下にはひときわ明るくおおいぬ座のシリウスが輝いています。
今月のゲストとして
昨年の今頃おうし座の角の辺りにいた
木星がふたご座の側に明るく輝いています。
今度の12月5日の満月はこの木星の側で明るく輝きます。
そのころの木星は満月に負けじと明るく輝きます。

星のことが分かるようになったことは悪くありません。
以前はただ眺めて、きれいだなーと思っていた星空でしたが、
今は対話出来る感じがします。
もちろん、言葉を交わすわけではありませんが、
「ああそこにいるね。」
「久しぶりだね。」
と声掛けができる感じです。

日々の日常から離れて、
意識を星空に向けるのも悪くないような気がします。
昔の人たちはこの星空を眺めながら、
星たちと会話しながら過ごしていたのでしょうか?

そう、最近できるようになったのは宇宙旅行です。
修行のたまものです。

以前にも書いたことがあるのですが、
ある水行(温水)をしているときのことです。
「一生に一度も宇宙旅行することはないのだろうな。」
そう思いながら、お月様を眺めていました。
そして、気が付いたのです。
「そうだ、私は今、水行しながら
宇宙空間を秒速30キロメートルで飛んでいるのだ!!」
って。

鍵は、<今まで学んで知っていた太陽系の図は実際の星空にあるんだ>
と気が付き、図を星空に当てはめることでした。

同じように頭の中の知識と現実と乖離した事柄が多々あるように思います。
子どもの頃は木星や土星が実際の星空に見えていると思っていませんでした。

最近、色の直接体験について考えています。
事の起こりは、R・シュタイナーが語った
<色彩を物に付属したものとしてではなく、直接に感じることが大切である。>
という記述です。
色を胸で直接感じるような、
感情的なものとして受けとるような感じ、
とでも言いましょうか…

なかなかできませんでしたが、
修行の甲斐もあって、少しできるようになっている気がします。
トランスパレントスター作りなどの
色が透ける体験を長年やってきたおかげでしょうか?
ジェームスタレルのオープンスカイの体験のおかげもあると思います。

先日、水彩で描いた絵を整理していて、
ぼわーっと広がった絵具の色彩が、直接心に沁み込むのを感じました。
シュタイナー教育で、
「低学年の子どもたちには色彩を体験させる必要がある。」
という言葉を思い出しました。
物の形を描くのではなく、色彩を直接感じることの大切さを再認識しました。

今頃 山では紅葉が美しいことだと思います
こんなことを考えるのも、
最近、仕事が溜まっていて、
なかなか、紅葉をゆっくりと眺める機会が無いからかもしれません。

ここのところキンダーハープとキンダーライア作りに勤しんでいます。
ありがたいことに 、多くの方々からご注文をいただき、
在庫がなくなるたびに作っています。
今回は新たに国産材のケヤキを使って作っています。
なかなかいい感じです。

でも、板をカットして最初から作り始めるのでなかなか進みません。
今時板をカットして最初から手作りするなんてどこにもないと思います。

作業中は腱鞘炎になった手首を痛めないように
サポーターをしながら、
少し 作業しては 別の用事をする、
というローテーションでなんとか頑張りました。
作業の技術も上がり、より気持ちよく作れたような気がします。

これから製作する大きなライア作りに生かされることを期待しています。
「何事も無駄なことはないんだよね。」 と自分に言い聞かせながら、
老体に鞭打ち 頑張っています 。

最近は ネットなどでも、とても安いキンダーライア類も販売されています。
先日行った上海メッセでもたくさんのキンダーライアが販売されていました。

そんな中で私の作った楽器をご購入していただいて 大変ありがたいことです。

感謝です。

次の満月は一年中で一番高いところから世界を照らします。
そう、ここ18年で2番目に高く上がる月で、
スーパームーンでもあるようです。

「晴れたらいいな!」

2025/11/21 井手芳弘

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