315 ドイツ研修記5:聖なる場所

最初のドイツ訪問もボーデン湖のあたりでした。それから、ほとんどのドイツ滞在はこのボーデン湖のあたりで過ごしていて、他の場所にはあまり行っていません。
私の研修や仕事もほとんどこのボーデン湖畔で行っています。
田舎で、あまり観光的に有名な場所でもなく、日本の旅行者もあまり訪れないところです。
まあ、ローカルな場所でいいや、と思っていたのですが、どうも、ここらあたりの場所は歴史的にも重要な場所で、不思議な場所のようです。その思いが年々強くなってきます。

自分がとても重要な場所に来ていたのだ、ということをひしひしと感じるこの頃です。

マンハイムからザーレムに向かう間、知り合いの子どもの洗礼式のために、スイス領のライン川の中の島にあるカトリックの教会に行くことにしました。

このライン川はスイスからボーデン湖に流れ込み、また流れ出すとさらにドイツを北に向かって流れ、北海に注ぎ込む大きな川です。二つの国をまたいで縦断しているくらいですから、日本の川とは比べ物にならないくらい長い川です。さらに、スイスアルプスの雪解け水を運んでくるため、水量は豊富です。

ボーデン湖に流れ込む前のライン川は特にきれいな流れです。
そんな流れの中に中の島があり、そこに教会が立っています。もともと教会が立つはるか前から、ここでは人々が暮らしており、聖地としてあがめられていたようです。

その昔、ケルト人が北から降りてきてボーデン湖とライン川に行く手を阻まれ、ボーデン湖の北側にケルト文化の華を開かせました。いまでもまだ発掘され、研究されているようです。ケルト人は文字を持たなかったため当時の様子を知ることが難しいようです。

南から攻めてきたローマ人たちはこのライン川をなかなか越えることが出来ず、ライン川の南側にたくさんの遺跡を残したようです。

宗教改革をしたマルティン・ルターのおひざ元スイスではプロテスタントが多い中、この教会はカトリックの教会、というよりは修道院で、数人の修道僧が暮らしているそうです。

抜けるような青空の下、島への橋を渡りました。人だけが渡れる橋です。下には、清らかなライン川が流れています。島まで渡っているうちに自分の中の雑念も流れていって、非日常の世界へ進んでいくようです。自然の力によって清められる感じです。
昔は橋が架かっておらず、小舟で行き来していたのでしょう。

島にはこじんまりした建物の側に迷宮が石で描かれた庭があります。
その迷宮を歩いてみました。
最初に中心に近づいたかと思うと、だんだんに遠くなってまた近づいて、という人生そのもののような道のりです。

建物の周りを歩いてみました。
島と言っても、本当にこじんまりとしています。

大きく成長したポプラなどの木々が高い梢を空に差し出しています。

地面の上にはかわいい花たちが咲いています。

要石のように、小さな礼拝所があります。

周りは清らかなライン川が取り巻いて、常に島の周りを洗い流してくれています。
それほど遠くないボーデン湖畔にヘルマン・ヘッセの住んでいたところもあるそうです。

天気に、川に、島にそして人々に祝福された一日でした。
「それぞれの場所で、それぞれの人々の暮らしがあり、世界があるのだ。」と強く感じました。