116 ニーダーさんでの研修
今年も、ニーダーさん宅へやってきました。
外国へ行くといっても、
毎年同じ所へ行っていて、
冒険をしているわけでもありません。
新しい出会いがあるというよりは、
今まで出会ったものとより深く出会うという感じです。
今年のニーダーさん宅はたくさんの雪に包まれていました。
200年ほども前の農家を改装した
ニーダーさん宅の前にはたくさんの雪が積もっていて、
その真ん中に一本の菩提樹の木が立っていました。
この木は亡くなった息子さんの
ベンジャミンが生まれたときにここに植えたそうです。
今から20年ほどになるか、と思います。
菩提樹の木はドイツ人の精神にとってとても大切な木だそうです。
重要な話し合いなどはよくこの木のそばで行われ、
誓いを立てたり、人を裁いたりする時もこの木のもとで行われたそうです。
左の写真の彼は、
マーチンといって、ニーダーさんのところで働いている職人です。
ニーダーさんのところで研修をしながら、
ギター、ライア、ハープなどの
指で弾く楽器の学校で職人の資格を取りました。
彼とは見習い時代から顔を合わせています。
口数は少ないけれど、とても優しい人です。
彼がグループでギターを弾いていると言って、
今回録音したCDをもらいました。
右の写真彼はアンドレアスといって、ギターづくりのマイスターです。
マイスターは職人を何年か続けて、初めて資格を取ることができます。
もちろんニーダーさんもマイスターです。
彼は特に、セラックニス塗りのスペシャリストで、
今回はこのセラックニスの塗り方を教えてもらいました。
本などを見て適当にやっていましたがうまくいかず、
今回教えてもらって目からうろこでした。
出来上った塗装は魔法にかけられたかのように、
美しく輝いていました。
数年間、ニーダーさんのもとで働かれていましたが、
経営的に苦しくなって現在は辞められているそうです。
自宅でときどき注文があれば作られているようですが、それでは生活できず、
墓石を埋める仕事、トラックでの運送の仕事、など何でもされるそうです。
これだけの技術があるのに、と、とても残念です。
ニーダーさんも言われていましたが、
昔からずっと続いた楽器作りの伝統が
今崩壊していて、楽器職人がほとんど失業状態にあるそうです。
やっと今回
ラウターヴァッサーさんの写真を撮ることができました。
カラヤンの写真家として有名なお父さんをもつ彼は、
大学では哲学を学ばれていて、
なんと写真から、ビデオの編集からすべて独学で学ばれたそうです。
パソコンは2年前に始めたということでした。
今回は、ラウターヴァッサーさんの水に振動を与えることで
フォルムが生まれてくるというとても興味深いCDを
日本語に吹き替えられないだろうか、ということで相談に行きました。
ヴィンターさんのご自宅です。
ニーダーさん宅から10kmほど離れたところにある
250年以上も前に建てられた古いお家にオイリュトミストの奥さんと住まれています。
ヴィンターさんは赤い日本にはないタイプのカローラに乗られています。
そういえばニーダーさんもスバルでいずれも日本車です。
ヴィンターさんとは日本での講座の話、
ドイツやイタリアの美術館の話など、いろいろ話をしました。
ヤコブの巡礼の道をドイツからスペインの聖地まで
自転車で走ったシュタイナー学校出身の
25歳の男の子の講演を夜に、二人で聞きに行きました。
講座が行われたシュタイナー学校は
私が30年ほど前の初めてのドイツ行で訪問した
とても思い出深い学校です。
懐かしく思い出しました。
つい先週、彼はこの学校の壁の絵を
修復しながら塗られたそうです。
今回わかったことですが、なんとヴィンターさんは
ボクらが訪ねたときにこの学校の絵の先生をされていたようで、
日本人のグループにあったということでいた。
なんと、その時にお互いに会っていたんだ、
ということに気が付き、出会いの不思議さを思わされました。
2009.02.20.