139 星の話・2

そうだね、地球が回っているのかもね。

でもさあ、大地が逆さまになったら、ぼくたち生活していくの大変だよね。

頭に血が昇るし、水を飲もうとしたらこぼれてしまいそうだし、

海だって流れてしまいそうだし、岩は落ちてきそうだし、

自分だって落っこちそうな気がして、安心していることなんかできないよね。

おまけに回った日には、目が回るだけじゃ済まされないと思うんだ。

そんな状態で、数学の問題なんか解けると思う?

 

だからさ、星たちは考えたんだ、

地球をそっとしておいてあげて、自分たちが回ろうって。

そうしたら、ぼくたちはそのまま立っていられるし、

お茶は安心して飲めるし、海もきれいだなー、って眺めていることが出来る。

おまけに数学の問題も静かに解くことが出来る。

星たちは、とっても大きくて、どれくらい大きいって、

世界中のどこに行ったって、私たちを取り巻きながらついてきてくれるくらい大きくて…

本当に大きいものって、見た目は小さく見えるけど、

いつもついてきてくれるものなんだ。

その大きなものが、私のために回ってくれている。

どんなふうに回ってくれているかって、

見ていてもわからないくらいゆっくりなんだけど、とっても規則的なんだ。

北極星という星を中心に一日に一回ゆっくりとゆっくりと回っている。

来る日も来る日も、雨の日も晴れの日も雪の日も、忘れることなく。

「それって、退屈じゃない?」

「飽きてきそう。」

「星たちは、よくそれで退屈にならないね。」

そうだね、でもね、その中で、勝手に動いている星もあるんだ。

規則的に動いている星たちを追い越したり、後ろに下がったり。

おまけに、明るさを変えたりしている。

でも、とっても、とっても、ゆっくりと追い越したり下がったり、明るさを変えたりしている。

星たちが夜に動く速さよりもずーっとずーっとゆっくりだから、

とてもじゃないけど見ることが出来ないんだ。

「それじゃ、どうしてその星が追い越したりしているってわかるの?」

それは、星の言葉が読めるようになるとわかるんだ。

「それって超能力が必要だってこと?」

いやいや、そうじゃない。

 

アラビアの文字やインドの文字を見たことがあるだろう。

それを見ても何が書いてあるかわからないよね。

でもその国の人はそれを見て、子どもでも、何が書いてあるかわかる。

同じように、最初は星たちがばらばらに空に散らばっているようにしか見えないよね。

 

でも、星と星をつなぐことでそこに描かれている姿をつかむことが出来たら、

星の集まりが一つの存在になり、それまでバラバラだったものが、

たくさんの生き物の集まりとなって、天井に広がる絵巻物のように見えてくるんだ。

そしたらね、それぞれの存在とお友達になれて、

あの星たち、今どうしてるかな?って考えることが出来るようになるよ。

星たちとお友達になるって、悪くなくない?

星たちとお友達になると、星の間を動いている他の星たちがあるのが分かってくるんだよ。

「昔の人たちって、よくそんなことまで分かっていたんだね!」

「星の言葉が読めて、星と友達だったんだね。」

 

2010.01.22.

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