140 星の話・3

私たちはみんなそれぞれが頭の上に王冠を持っているんだ。

それは、星たちが作る王冠で、

その王冠には12の星座が飾り付けられていて、

中央にそびえる北極星を中心に一日かけてゆっくりと一回転するんだ。

だから、みんな王様であり、お妃さまでもあるんだよ。

その王冠はどこに行っても頭の上に輝いている。

自分で持ち歩かなくていいから、絶対に忘れてくることがない。

忘れん坊の私にはとってもぴったり。

まあ、かぶっていることを忘れることはよくあるけどね。

 

星占いをするときの星座を知っているだろう。

あの12の星座が輪になって私たちの頭を取り巻いてくれている。

しかも、空中に浮いているから頭を締められることがなくとっても楽。

その回転する王冠にはその他に飾りがついている。

月や水星、金星、火星、木星、土星、そして燦然と輝く黄金の飾りの太陽、

その飾りの太陽の輝きと言ったら素晴らしいもので、

それが星空に現れるや否や、真っ暗だった空が輝く青に変わり、

星々は消え去り、雲や山や木や野原やいろんなものが明るく輝く。

それぞれの飾りたちは、12の星座からなる王冠を右の方から左の方へ旅をする。

黄金の飾りの太陽は一年かけてその星座の王冠を回っている。

銀の飾りの月は一月かけてその王冠を回っていて、

太陽の飾りに近くなると小さくなって消えてしまい、

遠く離れると大きく明るく輝く。

その他の惑星たちだけは行きつ戻りつの不思議な動きをしている。

水星はぐるっと三度、太陽の周りを取り巻きながら一年間に一周王冠を廻り、

金星は太陽をぐるっと一周廻りながら一年半ほどかけて王冠を周る。

火星は一回輝きを増しながら少しあと戻りながら2年とちょっとかけて一周する。

木星と土星は一年に一度ほど、輝きを増し、後ずさりしながら、

木星は12年、土星は29年と半年かけて、王冠をめぐってくる。

とっても不思議な王冠だろう?

「なんだかとっても華やかな気もするし、

訳が分らない気もするし、なんだか、とっても気の長い気もするな。」

 

おまけに、その王冠のかぶり方も普通の王冠と違っている。

普通の王冠はきちんと真っ直ぐにかぶるけど、

この王冠は、ちょうどつば付き帽のつばのように斜めになっている。

北極星を中心にしてかぶっているから、

北極にいる人は頭の上に北極星が輝いていて、

頭の上を中心にその王冠が輝いているんだけど、

赤道近くの人は大変、

北極星が地平線近くにあるから、王冠を真横にかぶっている感じ。

そう、風が強くて雨が横から降っているときや、

道路の車がはねた水を防ぐときに傘を真横にするよね、あんな感じかな?

「なんだか、難しすぎてわからない…」

そうね、なんだかとっても複雑だよね。

現実ってとっても複雑なのかもね…

「なにわかったようなこと言ってんの?」

 

2010.01.22.

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