今年も東京で、ライア作りの講座を行いました。
ノミを持つのも初めての皆さんも、
とても素敵なキンダーライアを完成されました。
講座の中で、私が皆さんにお伝えしていることは、
自然な形、バランスの取れた形を作るということ、
目で見るだけではなく、触りながら形を作っていくこと
表の形に添わせて裏側を掘っていくこと、
生き物としての形を作ること、
などなどです。
こういう風に書いてしまうと、とても難しそうです。
参加者の皆さんは、最初、ちんぷんかんぷんですが、
次第に、その感覚が分かるようになり、
触りながら、「そう、ここね!」「そう、そう」
などと、はたから見ると、わけのわからないことを
つぶやくようになります。
ペロルライアペンタトニックのシリーズが終わり、
新たな制作に入っていますが、
そんなわけで、人にはそのように厳しく偉そうに(?)言っているのに、
肝心の私の作るペロルライアが、その形になっていないとなると、
自己矛盾を起こしてしまいます。
「先生、あんなこと言っていたのに実際に作るライアこんなの?」
と言われると恥ずかしくて穴に入るしかありません。
作りかけのライアを自分で触りながら、
「う~ん、う~ん」とうなりながら頑張っています。
背中やお腹がむずがゆくなるような変な感覚に襲われ続けます。
たぶん、羽ではなく、
自分の身体を作っている形を使っているのだと思います。
そういえば、足の裏に体の様々な臓器のツボがある
と聞いたことがあるように思います。
足の裏の形に体全体が表されているのだと思います。
足の形に体の形を合わせるのはとても難しいように思いますが、
ライアを体の形に合わせるのも同じようなものかもしれません。
そういえば、ライアが足の形に見える、
とか耳の形に見えるとか言われる方があります。
そうやって、う~ん、う~んと唸りながら、
良い感じになってくると
胸と腕のあたりがスーッと撫でられるような感じになります。
何度も撫でているうちに、
ふと、思いました。
「そう、鳴らさなくてもいい。」
「触るだけでいい。」
「触るだけで癒される、触るだけで元気になる、そんなライアを作ろう。」
「コンセプトは<触るだけで癒されるライア>だ!」
そう考えているうちに、ペロルライアをご注文いただいているお客様から、
「皆さんで集まる機会があり、そこで紹介してあげますよ。」
というありがたいお言葉いただきました。
おまけに、私のライア作りの講座に参加された方も同席されるとこのこと。
今まで積み重ねたことを使いながら、必死の思いで仕上げ、送りました。
後で、「皆さんで撫でまわしました。反応はとてもよかったです。」
とお聞きしました。
これで、講師の面目も保たれて、一安心です。
ところが、なんとそのあと、
「2歳の男の子が、お家のペンタトニックのライアには
全く興味を示さなかったのに、そのライアを見るなり、
夢中で弾き始めました。」
という信じられない話と動画をお母さんからいただきました。
これには、うれしさを通り越して???状態です。
「そこまで?」という感じです。
ライアもさぞかし照れていたことでしょう。
2019.03.01井手芳弘