福岡-札幌の直行便に乗って北海道に行ってきました。
20年ぶりくらいです。
飛行機から降りて、札幌に向かう列車の窓から見る風景は、
見慣れた日本の風景ではありません。どちらかというとドイツの風景です。
全く外国へ来た感覚です。
わざわざ、遠くのヨーロッパまで行かなくても、ヨーロッパ体験ができる、と思ってしまいました。
この異国に暮らす人たちは、ボクらとは全く違う感覚になるのだろうな、と思ってしまいました。
そのまま札幌を通り抜け、小樽に行きました。
そこにある「キンダーリープ」というお店を訪ねるためです。
南小樽駅で降りると、駅には冬の平日だというのに観光客がいます。
お店は駅から少し歩いたところにあり、立派な蔵造りで、
しっかりした鉄の扉がついています。
さすが倉庫の街です。
重い鉄の扉を開けて中に入ると店長さんが出迎えてくれました。
店休日だというのに、わざわざ出てきていただきました。
中に入ると、奥までたくさんの商品が並んでいます。
まるで、ローテンブルクのおもちゃ屋さんのようです。
二階には子どもたちの遊びのコーナーも備え付けてあります。
お店は大きな薪ストーブが置いてあり、
階段にはたくさんの薪が積んであります。
後から、切り絵作家で、当店のローズウィンドウのコーナーにも
紹介している、近藤さんも来ていただきました。
店には近藤さんの素晴らしい切り絵が展示されていました。
さらに、オーナーの杉本さんも用事を済ませて来ていただきました。
オーナーは5年ほどドイツにおられたそうです。
店長さんとオーナーはご夫婦だということが後でわかりました。
驚いたことに、店の売り上げのほとんどは店舗での販売なのだそうです。
3時間ほど、いろんな話をしていただき、
暗くなった町を後に札幌へと向かいました。
次の日は、列車で旭川の三浦木地さんを訪ねました。
長年訪ねてみたいと思っていたところでもあります。
旭川駅に着くと、三浦さんがダンディな姿で、
私の名前を書いた紙をさげて待ってくれていました。
車に乗って、まずお弟子さんのところへ向かいました。
途中、道路の脇に雪の塊ができています。九州の子どもたちが見たら、
夢中で穴を掘ってかまくらにするでしょう。
Kwoodの小関さんは、三浦さんの弟子の中で、
唯一独立された方だそうです。
太くて大きいテーブルの脚を挽いているところでした。
その傍らに、小さなかわいい鳥たちやウサギが置いてありました。
次に、いよいよ念願の三浦さんの工房です。
工房に着いてびっくり!
とても狭い場所です。
こんなところであの数々の作品が作られているんだ、と驚いていると、
「狭くて驚いただろう。」「みんなびっくりするんだわ。」といわれました。
計画的に物を作っていて、今はさざ波を作っているところだそうです。
作業場に隣接する建物は前に住んでいた家だそうで、
そこが展示場と倉庫になっています。
二階の展示場に上ると、数々の作品が並んでいます。
どれも、クラフト賞を取ったものばかりで、
皇室から買い上げられ、皇室の家族写真に掲載されたものもあったそうです。
「賞をなんぼもらっても、オレの物はそんなに飛ぶように売れるもんじゃないんだわ。」
「でも、皇室の写真に乗った時はすごかったな~!」
と三浦さんは朗らかに笑っています。
2019.3.15 井手芳弘 “