昼間には見えないけど、たくさんの星が出ているってこと知ってる?
「もちろん知ってる。」
えっ?すごいじゃない!どこで聞いたの?
「……」
「自分で話したくせに。」
……
えっ!話覚えてたの?
「……」
そう、昼間には実はたくさんの星が出ているんだ。
夜の星空と同じくらい。当たり前のことだけどね。
でも、お日さまの光が強すぎて見えなくなっているんだ。
そう、それは夜の星空の中で、
一つの星が輝き始めてとっても明るく輝いて星を見えなくしているようなものさ。
お月さんだって、三日月の時は周りの星がよく見えるけど、
満月になると明るくなって小さな星が見えにくくなって来るよね。
それが何倍も何倍も、何百倍も明るくなった感じかな。
だから、青空の後ろにはたくさんの星が控えているんだ。
「それって証明できるの…」
証明?
それはできない。
「何だ、それじゃほんとかどうかわからないじゃん。」
でもね、たとえば、
二十日月のお月さんが夜明け前の真上近くの空に出ているとするじゃない。
その周りに星があるよね。
その星を覚えていると、お月さんが星と一緒に移動しているのが分る。
そして、ついには朝を迎えて、
お月さまだけは見えているでも、その周りの星もそのままあるってわかるじゃない?
「つまんない…」
……
「星見えないの?」
……
パパもやってみたんだ。
何かの本で読んだんだけど、
高い山に登ると昼間でも星が見える、って書いてあって、
それでヒマラヤに出かけて行って、
4500メートルの高さまで登って、星を探したんだ。
「それで見れたの?」
見えなかった。
おまけに、探し過ぎて、空を見続けていて、
紫外線に目をやられて雪目になって、数日間、何にも見えなくなっちゃった。
「何だ、それであきらめたんだ。」
いや、あきらめなかった。
日食の日には空が暗くなって夜のようになるから星が見えるだろうと思って、
日食を見に行ったんだ。
「みえた!?」
暗くなったけど、曇っていて、空が見えなかった。
「残念!」
「それであきらめたってわけね。」
いいや…
「それって負け惜しみ?」
ある模型屋のおじいさんが、話してくれたんだ。
「わたひの わかひ ころには、にくがんじぇ、ひんへいをみちゃもんじぇすよ。」って。
「???」
おじいさん、歯が悪くてね。私の若いころには肉眼で金星を見たもんですよ、って言ったんだ。
「へー おじいさん見たんだね。」「すごい目をしているんだね」
そう、それで、それに最後の希望を掛けてるってわけ。
この前、天文館の人に相談したんだ。
そうしたら、金星が明るく輝くころなら見えますよ。って言われたんだ。
今見えてますよ、って。場所さえ分かれば、誰でも見えますよって。
望遠鏡に金星のある場所をプログラムして
その場所に望遠鏡の照準を合わせて、
望遠鏡が指示している方向をひたすら探すと見えてくるって。
目が慣れてくると、より見えるようになるんだって。
「そう、そのおじいさん、仙人じゃなかったんだね。」
いいや、仙人さ。今度は僕らが仙人になる番さ。
それじゃ、さっそく予定を決めて出かけよう。
「っていうか、予定を決めても晴れてないとどうしようもないじゃん。」
そうか、じゃあテルテル坊主。