153 星の話・14

「ねえ、七夕の時に織姫と彦星が出会うじゃない。」

「もし雨が降ったら、織姫と彦星を見ることはできないの?」

「一年に一回のチャンスを逃しちゃうってわけ?」

「おまけに、二人とも一年に一回会うチャンスなのに、

雨で会えなくなるなんてかわいそう。」

大丈夫、大丈夫。

別に、織姫と彦星は七夕の日だけじゃなく、

このころの夜空には他の日にも出ているし、

本当は一年中出ているんだよ。

ただ、他の季節は昼間に出てて見ることはできないけど、

青い空や白い雲の中に隠れているんだ。

「なんだか、少し難しくて、わからないけど、

できれば夜に、自分の目で見えたがいいな。」

「それも、七夕の日に…」

「でも、七夕の日って梅雨ころだから、見えることって少ないよね。」

「それとも、二人の悲しい運命は、梅雨の雨が似合うってわけ?」

「そんなはずないよね。だって、二人が会える日だから、

心もカラッ、空もカラッ、だよね。」

「中国のお話しだから日本の季節に合わせて作られなかったのかな?」

そうね、不思議だよね。

でもね、昔は梅雨が明けた夏の夜に祝われていたんだって。

「えっ?じゃあどうして今は梅雨に移ったの?」

「みんな、意地悪になったの?」

実はね、昔はみんなお月さまの暦を使っていたんだ。

お月さまの満ち欠けに合わせて、暦が作られていた。

今でも、満月のことを十五夜のお月さまっていうし、

夕方出ている細い月のことを三日月っていうだろう。

新月の日を1日として、満月の日を15日としてたんだ。

ほんの少しずれることもあるけどね。

だから、お正月の元旦はいつも月のない新月だったし、

8月15日のお盆はいつも満月だった。

というか、お盆は今の中秋の名月の日なんだって。

だから、お盆の日には、夕方、東の空に満月のお月さまが出てきて、

それに乗って先祖の仏さまたちがやってきたのかもしれない。

節分だって、月がまったくなくなった大みそかの闇夜に行われていたんだ。

暦と月の満ち欠けが一致していたから、

昔の人たちはいつも月がどれほどの大きさか見なくてもわかっていたんだ。

それから考えると、七夕は、大体今の8月に祝われていたことになる。

「何だ、そうなんだ、心配して損した。」

「でも、それだったら、そんな便利な暦から今の暦に変えちゃったの。」

そうだね、一年の365日がお月さまの満ち欠けとサイクルとかなりずれているから、

お月さまの暦の時は一年ごとにどんどんズレてきて、

それを補うために、一年が13カ月の時もあったんだ。

「えっ?じゃあ、12月の後に13月があったの?それって何て呼んでたの?師走の次…」

「弟子走??」

残念ながら、別の呼び名はなかった。

なぜかっていうと、同じ月が二回あったりしたからね。

「えっ?同じ月が二回???」

そう、大の月と小の月…。詳しくはパパもわからないから、調べてみたら?

「今の暦がいいのかなって気がしてきた…」

ちょっと脱線したかな?

七夕の日は7月7日だったから、昔の七夕の日は、

ちょうど半月あたりで、お昼に東の空からお月さまが出てきた。昼間だからひっそりと。

そして、西側の半分が輝き、東側の半分は影になった月が夕暮れのころに空高く現れる。

ちょうど、西の光と東の闇をつなぐような存在として。

空には天の河が空を二つに分けるように現れ、

その中をハクチョウ座が泳ぎ、

その両岸には織姫の星(ベガ)のあること座と

彦星(アルタイル)のあるわし座が現れる。その周りには満天の星空。

真夜中になって、月は沈み、後は満天の星空だけが広がる…

「… … …」

えっ?人が一生懸命に説明しているのに寝てるの??

「ううん、違う違う、織姫と彦星の夢を見てたの…」

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