161 星の話・22

身の回りには普通に存在しているのに、よくよく考えてみると、とっても不思議なことってあるんだよ。

例えば、<自分>なんてとても当たり前に存在しているけど、考えれば考えるほど分らないものだよね。

そこまで行かなくても、当たり前だと思っていることの中に、とても不思議なことが隠れている。

太陽の周りを惑星が円を描いて回るよね。その時に完全な円じゃなくて、楕円軌道(楕円を描く通り道)になっているって聞いたことある?

「なんか、言葉だけ聞いたような…」

そう、昔 ケプラーという人が、他の人の行なった観察結果からさまざまな天体の法則を発見したんだけれど、その中の一つとして、この楕円軌道の発見があって、一定時間に進んだ距離(始まりの位置と到着した位置)と中心の天体で作る三角形の面積は一定になることも発見した。だから、中心の天体に近づけば近づくほど周る天体の早さは早くなるんだ。

「よくわからないけど、なんだか、凄そうじゃない。」

「でも、そのどこが当たり前のこと?」

「なんだか、難しくて、特別のことのように思えるけど?」

そうね、でも楕円って、どこにでもあるものじゃない?

でも、この楕円がね、とても不思議なんだ。

「なんか、また始まった感じ…」

なにが?

「訳の分んない話!」

だめ?

「少し、楽しみになってきたかも…」

だってね、楕円に見えるんだよ。

「???」

「何が?」

楕円がさ!

「楕円が、楕円に見えて何がおかしいの?」

楕円が、楕円に見えることはとっても不思議なことなんだ。

「最高に分らない!」

例えば、円になっているものがあるよね。どんなものがあるかな?

「観覧車。それにバスケットコートの中の円」

そう、それらは楕円にしか見えないんだ。

それらのものを写真に撮るとするじゃない?

そうしたら、みんな楕円として写る。

それも、正確な楕円として。

これって不思議なことじゃない?

「えっ?横から見れば、つぶれて楕円に見えるってことはわかるよ。」

それだけじゃない。

遠近も加わるから、近く部分は大きくなり遠くの部分は小さくなる。

それなのに、歪んでいない正確な楕円として見えるんだ。

それでね、不思議なことは、正確な楕円を地面に描くじゃない。

正確な楕円を描くことは二本の杭と一本の棒があれば簡単に地面に描けるけどね。

描いた楕円をどんな場所から眺めても正確な楕円に見えるんだ。

すべての円は楕円になり、楕円は楕円になる。

ぼくらが生きている世界は楕円からできている。

頭だって楕円の形。

「じゃあ、円が円に見えるってことはないの?」

あるよ、それは円の中心軸の一点から眺めたとき。

それと、虹。

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