162 星の話・23
「パパ−、訳のわからない話、ある?」

あるよ

「何の話?」

引力の話

「どんなの?」

太陽は地球の周りをまわっているって話。

「それは、聞いたよ。」

「それって、地球の動きを止めてみてみると、太陽が回るって話でしょ?」

それもあるけどね、それだけじゃなくて、太陽を中心にして考えてみても、実は太陽は地球の周りをまわっているんだ。

二つの天体があって、その一つがもう一つの天体の周りをまわる(様に見える)とき、実は片方が回っているんじゃなくて、両方が同時に回っているんだ。

ただ、それはお互いの重さに因っていて、同じ重さの天体があるとすると、二つの天体は、二つの距離の真ん中の場所を中心にして周ることになる。

ちょうど、同じ重さの双子の兄弟が、ギッコンバッタンするシーソーに乗ってそのまま回転している感じ。透明なシーソーに乗ってね。

でも、お相撲さんと幼稚園生が乗ると、お相撲さんは真ん中のすぐそばに乗って幼稚園生はずっと離れたところに乗って初めて釣り合ってギッコンバッタンできるよね。それがそのまま周ると、お相撲さんはほとんど回らずに幼稚園生だけが大きく回っているように見えるよね。でも、やっぱり、真ん中のところで周っていることになる。

同じように、二つの天体はお互いの重さが釣り合うところを中心にして回っているんだ。だから、地球と太陽を考えてみると、公転と言って地球だけが太陽の周りをまわっているようだけど、実は太陽だって一年間に一回地球の周りをまわっているんだ。

ただし、太陽は地球に比べてとっても重いから、人知れず、フィフィーって口笛を吹きながら、素知らぬ顔で、何もなかったかのようにそっと回っているんだ。誰ににも気付かれないようにね。

だから、本当はどちらがどちらを周っている、って言うことはないのさ。重さ的には平等なんだ。

「へー、なんだかわかんない平等だけど、地球が周っていることで太陽も一応それに合わせて動いているってわけね。」

「あれ?でもさ、太陽のまわりまわっているのって、地球だけじゃないよね。」

「火星とか、金星とかも周っているよね。それはどうなるの?」

もちろん、火星に合わせても周っているし、金星に合わせても周っている。だから、すべての惑星の動きに合わせて動いているんだよ。

「えーっ?それって、考えるだけでも大変そう。」

「太陽って、じっとえらそうにそこにいると思っていたけど、けっこう大変な思いしているんだ。」

「それじゃ、ひょっとして地球だって、月が地球の周りをまわっているだけじゃなくて、地球も月の周りをまわっているの?」

もちろんその通り。

「えーっ?地球も複雑なんだ!太陽のこと心配して損した。」

それだけじゃないよ、地球は太陽や月だけじゃなく、金星や火星やその他の惑星の引力を受けて動いているし、その他の遠い星たちの影響もうけているかもしれない。

「ああ、頭抱える。」
でも、そうすることが地球にとっては一番自分らしくいれるんだ。

「えっ?もういい。今日はもういっぱい。」

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