167 星の話・28

「パパ   パパ」

「お母さん、ひな人形、出してくれるって言っておいて、そのままひな祭り過ぎてしまったじゃん。」

えっつ?それじゃ、旧暦  でひな祭りのお祝いすればいいんじゃない?

「なに、それ?」

昔使っていた暦で、大体、一月ぐらい遅れているかな。

お雛様の時に桃の花をあげるじゃない?でも、桃の花ってひな祭りの時に咲いていなくない?

昔は今の暦の4月3日ごろにやってたので、そのころは桃の花の盛りだったから、桃の花をお供えしていて、その形だけがそのまま残ってしまったんだ。

暦が替わったことで、いろんなことが混乱したまま残されているんだ。

例えば、節分あるじゃない、あの祭りは実は大みそかに行っていた祭りで、昔のお正月がちょうど節分のあたりにあったから、お正月は一月前の今のところに移ったけど、大みそかのお祭りだけが節分(年越しの節を分ける)のお祭りとして残ってしまったってわけ。

今年は、ちょうど節分の日が旧暦 のお正月に当たったから、ほとんど昔の祭りの日に行われたことになる。

「へーそうなんだ。」

お正月に、初春って書くじゃない。どうして、春って書くかなあって思っていたんだけど、昔のお正月は2月の初めごろで、1月という月は春の始まりの月だったんだ。

今年の旧暦  のお正月の日の2月3日からは急にいい天気になった。

昔の暦はお月さまの暦で、一日はお月さまがまったく出ない新月で、三日目の細い月のことを三日月と呼んでいたんだ。満月は十五日月と呼ばずに十五夜と呼んでいたし。知ってた?

「そんなこと知らない。」

「なんだか難しいね。」

そうかな?

お盆はいつも盆のような真ん丸い月が出ていた。中秋の名月の日がお盆だったんだ。

よく知っているだろう?

「そうね。月のことはね。」

「他のことは全く駄目だもんね。」

そうかな…

初めて星の話ができた!(ノンフィクション)—車中に

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