168 星の話・29
「サクラが咲いてるね。」

そうだね、サクラが咲いているね。

「サクラが飛んでるね。」

「まるで、小さな蝶々のよう。」

そうだね、蝶々のように桜が飛んでるね。

「蝶々も飛んでるね。」

ミツバチたちの羽音も聞こえる。
風が流れている。
光も一緒に流れているようだ。
考えたら、サクラの花って光みたいなものだからね。
光が流れているって考えてもちっともおかしいことじゃない。

「考えればずっと星のこと考えてきたね。」

でもそれは、いろんなことにつながっているよね。
私たちが生きているこの世界のことに。
だって、星たちやお日さまやお月さまって、僕らが住んでいるこの世界にはいないわけじゃない?温かくて、風が心地よくって、音が聞こえて、サクラの花が美しく色づき、風に舞っている世界にはさ。
だけど、それはこの光の風が吹き抜ける世界には関わりを持っている。というか、その世界に現れている、って言った方がいいのかな?
空気はお日さまの光が差し込むことで温められ高く上り地上の風を起こし、水は一緒に空に昇り、雨となって降りてきて地面を流れ大地を形作る。
空気と水と大地は一緒にサクラの木として光を表現する。

「その表現は移り変わり、過ぎ去っていくのになぜ?」

サクラの花びらが風に乗って運ばれると、喜びが生まれる。

「誰の?」

私の喜びが。
その喜びは光となってお日さまからの光と出会う。

「相変わらず、訳が分らないけど、サクラがきれいだから、サクラの花びらの舞いに乗せて聞き流せる。」

「こんどは何の話する?」

こんどは何の話しようか

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