232 ジョギング

ひさびさ、ジョギングなるものをやってみる。

最近、身体動かしてないからなー
寒いな、でも頑張ってみよう。

ゆっくり、ゆっくり走ればなんともない。
おもむろにゆっくり走り始める。
と、オジサン自転車が追い越していく。

それも早すぎもせず、遅すぎもせず…
不幸にも追いかけるにはちょうどいい速さ。

気が付くと、頑張って追いかけている。
途中で、自転車リタイア

(というか、分かれ道で別の方向へ。別にタイヤが外れたわけではない)

一人取り残される。

途端に、疲れが…
普段のペースより速かったため、いわゆるオーバーペース

ゆっくり走ろうと思っていたのに…
やっぱり前に獲物がいると、だめなんだよね…

ついつい追いかけてしまう。
あーきついなー

星空見ながら走ると楽かもねー
雲の中から星出てるね~

あそこらあたり、結構明るい星あるけど、何の星だろう。
あれっ!オリオン座じゃん!
オリオン座、こんな方角におりおんざ!
ということはあの明るい星は木星!

木星も走るとついてくる!
遠くにあるけど、本当は大きいものは、ボクについてくる。
ほんと、ついてくる感じ。

あっ、物にかくれた!
あっ、出てきてついてくる!

なんだか、気がまぎれる。
ふと、左の反対側を見てみる。
そこには半月のお月様
お月様もついてくる!

**

「おお、お前も頑張ってついてきてるのか?」

月:もちろん!
俺様、付(つき)なんちゃって!
まあ、おれついてこないとまずいっしょ
したって、彼、『お月様、なぜついてくるの?』
なんて講座、時々やってくれてるからね。
俺がついてこなかったら、様にならんっしょ

木星:「だよね!
お前が着いてきてなかったら、ことだよね。
お前、太らせてやるからよ、早くおれんとこへ来いよ。」

月:小さい割に、偉そうなものをいうでないかい。

木星:「何言ってんの?
今どきの小学生だって、

お前より俺様が本当は大きいってこと知ってんだぞ!」

月:でも、小さいじゃん!
本当は本当は、っていくら叫んだっていっしょ、

月:実際小さいんだから。
俺が大きくなりながらお前の所に行って、

光 たくさんあげっから待ってろ。

木星:「お前、いつもそういいながら

おれんとこに来る前にしぼんでるじゃないか!
もう、聞き飽きたよ!」

月:難しいんだぞ、お前んとこで満月になるの!
満月になるのは一年に12回しかチャンスないし、お前、動いていくし!

月:でも、一昨年は晴れ舞台だったよな。
俺、中秋の名月で大イベントやってる時に、

お前そばにいてくれてお祝いしてくれたよな。

木星:「そりゃ、もちろん、できるだけ明るく輝いたさ。」

月:楽しかったね。

木星:「うん、一緒に団子備えてもらって

一緒にお祝いしてもらってうれしかった。

だって、お前はお月様って、

知名度あるけどよ。おれのこと、あんまり誰も知らない。
星空で頑張って輝いてたって、

ほかの星と見分けつかないし…
お前みたいに、いろんな形になって

みんなを喜ばせるパフォーマンスもできないし…」

月:天下の宝刀の逆行!っていうのはどうなってんの?
あれって、いわゆるお前たち

惑星仲間のパフォーマンスじゃないの。
フーラフーラフーラフラ、

千鳥足だよお父っつあん、

お土産下げて、早く帰って子の顔見たや、

いやいやもう一軒梯子かな…

木星:「馬鹿にしてんな!
あれだって、何か月もかけてゆっくりだし、

星は常に動いててるし、だれにも分かんないんさ。
お前、もうちょっと優しいかと思ってた…」

月:だからさ…
俺さ… お前たちが、そうやって

地味にパフォーマンスしてるだろ。
小さいながら、最大に明るく輝きながら。

誰も気づかないからよ~
少しでも目立たせてやろうと思って、

頑張って体ふくらませてよー
パンパンに輝いて、お前のこと照らしてあげて

応援しようとしてんだ。
だって、この夜空の中で、おれとお前たちぐらいだろ。

一緒にお日様の光受けてるの。

木星:「…」

悪かったな。

木星:「俺も言い方悪かった。口が悪くて…
待ってるよ。」

月:今回はお前のすぐそばでは大きくなれないけど、

また大きくなって来月はお前のそばに来るからな。

木星:「了解!
俺、お前を前から知ってるような気がする。
なんか、おんなじような話しなかった?」

月:気のせいじゃない?

木星:「そっかな?
そっち寒い?」

月:ぼちぼち
お前んとこは?

木星:「まあまあね。」

月:ほかの星たちも頑張ってるね。

木星:「だねー。」

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