ひさびさ、ジョギングなるものをやってみる。
最近、身体動かしてないからなー
寒いな、でも頑張ってみよう。
ゆっくり、ゆっくり走ればなんともない。
おもむろにゆっくり走り始める。
と、オジサン自転車が追い越していく。
それも早すぎもせず、遅すぎもせず…
不幸にも追いかけるにはちょうどいい速さ。
気が付くと、頑張って追いかけている。
途中で、自転車リタイア
(というか、分かれ道で別の方向へ。別にタイヤが外れたわけではない)
一人取り残される。
途端に、疲れが…
普段のペースより速かったため、いわゆるオーバーペース
ゆっくり走ろうと思っていたのに…
やっぱり前に獲物がいると、だめなんだよね…
ついつい追いかけてしまう。
あーきついなー
星空見ながら走ると楽かもねー
雲の中から星出てるね~
あそこらあたり、結構明るい星あるけど、何の星だろう。
あれっ!オリオン座じゃん!
オリオン座、こんな方角におりおんざ!
ということはあの明るい星は木星!
木星も走るとついてくる!
遠くにあるけど、本当は大きいものは、ボクについてくる。
ほんと、ついてくる感じ。
あっ、物にかくれた!
あっ、出てきてついてくる!
なんだか、気がまぎれる。
ふと、左の反対側を見てみる。
そこには半月のお月様
お月様もついてくる!
**
「おお、お前も頑張ってついてきてるのか?」
月:もちろん!
俺様、付(つき)なんちゃって!
まあ、おれついてこないとまずいっしょ
したって、彼、『お月様、なぜついてくるの?』
なんて講座、時々やってくれてるからね。
俺がついてこなかったら、様にならんっしょ
木星:「だよね!
お前が着いてきてなかったら、ことだよね。
お前、太らせてやるからよ、早くおれんとこへ来いよ。」
月:小さい割に、偉そうなものをいうでないかい。
木星:「何言ってんの?
今どきの小学生だって、
お前より俺様が本当は大きいってこと知ってんだぞ!」
月:でも、小さいじゃん!
本当は本当は、っていくら叫んだっていっしょ、
月:実際小さいんだから。
俺が大きくなりながらお前の所に行って、
光 たくさんあげっから待ってろ。
木星:「お前、いつもそういいながら
おれんとこに来る前にしぼんでるじゃないか!
もう、聞き飽きたよ!」
月:難しいんだぞ、お前んとこで満月になるの!
満月になるのは一年に12回しかチャンスないし、お前、動いていくし!
月:でも、一昨年は晴れ舞台だったよな。
俺、中秋の名月で大イベントやってる時に、
お前そばにいてくれてお祝いしてくれたよな。
木星:「そりゃ、もちろん、できるだけ明るく輝いたさ。」
月:楽しかったね。
木星:「うん、一緒に団子備えてもらって
一緒にお祝いしてもらってうれしかった。
だって、お前はお月様って、
知名度あるけどよ。おれのこと、あんまり誰も知らない。
星空で頑張って輝いてたって、
ほかの星と見分けつかないし…
お前みたいに、いろんな形になって
みんなを喜ばせるパフォーマンスもできないし…」
月:天下の宝刀の逆行!っていうのはどうなってんの?
あれって、いわゆるお前たち
惑星仲間のパフォーマンスじゃないの。
フーラフーラフーラフラ、
千鳥足だよお父っつあん、
お土産下げて、早く帰って子の顔見たや、
いやいやもう一軒梯子かな…
木星:「馬鹿にしてんな!
あれだって、何か月もかけてゆっくりだし、
星は常に動いててるし、だれにも分かんないんさ。
お前、もうちょっと優しいかと思ってた…」
月:だからさ…
俺さ… お前たちが、そうやって
地味にパフォーマンスしてるだろ。
小さいながら、最大に明るく輝きながら。
誰も気づかないからよ~
少しでも目立たせてやろうと思って、
頑張って体ふくらませてよー
パンパンに輝いて、お前のこと照らしてあげて
応援しようとしてんだ。
だって、この夜空の中で、おれとお前たちぐらいだろ。
一緒にお日様の光受けてるの。
木星:「…」
悪かったな。
木星:「俺も言い方悪かった。口が悪くて…
待ってるよ。」
月:今回はお前のすぐそばでは大きくなれないけど、
また大きくなって来月はお前のそばに来るからな。
木星:「了解!
俺、お前を前から知ってるような気がする。
なんか、おんなじような話しなかった?」
月:気のせいじゃない?
木星:「そっかな?
そっち寒い?」
月:ぼちぼち
お前んとこは?
木星:「まあまあね。」
月:ほかの星たちも頑張ってるね。
木星:「だねー。」