231 日向ぼっこの季節

夏の間、頑張っていた草たちが…
フッと息をつく。
そして、もう一度光に身をさらす。

もう、夏のあいだのような攻めて来るような光ではない。
優しさと、微笑みを含んだ光が恵みのように降ってくる。
草たちも自分の中から、ギラギラしたものを取り去り、
後にはかすかなそよ風にその身を揺らす。

枯れ草たちはとっても気持ちよさそう。
ときどき、その匂いを嗅ぎに猫が訪れる。

しっかり日向ぼっこした、草の上で寝っ転がって日向ぼっこ。
風も適当に遮られ、見えるのは青い空と時折流れる雲。

でも、やっぱり、お日様のあまりの恵みに、しばし手で目を抑え、
その心地よさに、しばらく身を委ねる。

体の内側から温まり、中からいろんな思いが立ち上がってくる。
耳元では、草の乾いた音が伴奏する。

 

イチョウの葉が落ちる。なぜ?
落ちるために葉は茂るの?

それはわからない。
ただ、イチョウが落ちている。
イチョウが落ちていくのは確か。
今、一枚の葉が落ちていく。
そして降りつもる。
光が見守る。
風が見守る。
私も見守る。

カエデの赤
深い闇を後ろに抱え
燃えるように輝く。
私の心を捉えて離さない。
私の心は知っているのだろうか?
輝きの背後に深い闇があることを?
自分の中の何が輝いているのだろうか?

見守っているものは何?

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