つれづれ404木の枝の観察

木々が葉を落として
銀の針のようになっています。
草は枯れ、
ホワイトゴールド色に輝いています。

無機質で結晶化したような世界に、
お日さまの光がやさしく、やさしく
降り注いでいます。

多分、この時期のお日さまの眼差しが
いちばんやさしいのかな、
と思います。

樹々の芽も、種や球根たちも、
地面に張り付いているタンポポも、
まどろみながら、
そのお日さまのやさしい眼差しを
子守歌として聴いているのでしょう。

「これから春がやってくる、
そろそろ起きる準備だよ。
固まった体をほぐしてね、
これから背伸びをするために。
目を覚ましたら、
春の香りが輝きながら
そこや、あそこに飛んでるよ!」

そんなふうに、
やさしく起こされたいですね。

子どものころ、母親に、
「よしろ~!」「起きろ~!」と
外から叫ばれていたのを思い出します。

でもそのやさしさだったら、
夏まで寝てるかもしれません。

幸いなことに(?)春が過ぎたら、
「何寝てんだ!」とお日さまは
人が変わったように
ガンガン熱い、射すような言葉を
掛けてくるのでしょうね。

やっぱりやさしいうちに起きなきゃね。

この時期の楽しみは、日向ぼっこと
樹の枝の観察です。

葉が落ちて枝だけになっているので、
枝の別れ方、伸び方等を観察するのに
最適です。

日が当たっている日中もですが、
夕方辺り、樹がシルエットになると、
形がくっきりとして
とてもきれいです。

それにしても、どうしてこのように
たくさんの樹の形があるのか、
と不思議になります。

それぞれの樹の種類で、
特徴的な形をしています。

樹の枝ぶりを見て、何の樹か
わかるようになりたいと思います。

葉が付いていてもわからない樹も
ありますが…

イロハカエデは枝ぶりに特徴があるの
でわかります。
枝の先がカミキリムシの触角のように
二本長く伸びているからです。

枝によっては触覚がそれほど長くない
ものもあります。
触覚の下には¥マークのように
横に枝が付いています。

手塚治虫が描いたビッグXという
漫画に出てくる悪者に似ています。

その特徴的な形は枝の先端に芽が2つ
付いていることによっておきます。

春になると
そこから2本の枝を伸ばしていくので
先がY字型になっていきます。
そしてその下の枝がよく伸びるので
¥マークのようになっていきます。

その¥マークをたどりながら、
その枝がどのように成長していったか
を観察していきます。

観察しながら、

「この年はここからここまで
伸びたんだよね。」
「右の枝の方が伸びてるな」
「その先は?」

などと考えながら、
枝が数年間でどのように伸びたかを
確かめていきます。

寒い中、上を見上げて観察しながら
集中して考えていくのは
とても大変な労力が必要です。

観察するのに最適な場所は、
私の経験から、
あまり熱くない露天風呂です!
露天風呂だと、
寒い冬でも長く観察し続けられます。

なぜそんなことをするか、って?

それをすることで、
その樹がどのような勢いをもって
成長しているかがわかります。

そのことで、その樹にみなぎっている
力が分かります。

そうすることで、
自分がその樹の力と一体になります。

自分の中の流れが
樹の流れになることで
自分の中に新鮮な力が
みなぎってくる感じがします。

要するに、とても心地いいのです。

露天風呂も心地いいですが…

苦労の先には、
心地良さが待っています。

枝に光が射したりした日には、
もう、心地よくて気絶しそうです。

2021/2/5 井手芳弘

つれづれ404 樹の枝の観察」への2件のフィードバック

  1. 井手先生、久しぶりに「つれづれ」読みました。
    自然の観察、あまりできていないので、少しずつふやしていいきたいです。

    1. 神田様
      読んでいただき、ありがとうございます。
      暖かくなってきましたね。
      梅の観察なんかいいですね。

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