289 ドイツ研修3

チューリッヒ空港で飛行機を降り、

列車を乗り継いで、ボーデン湖畔を目指します。

ここはアレキサンダー・ヴィンターさんと

一度訪れたことのある、

ヴィンタートーア(ダジャレみたいですが)

乗り継ぎのホームのスロープです。

光の効果でXの文字が現れているのが

あまりに面白く、時間がないのに

戻って写真を撮ってしまいました。

さすが、科学博物館『テクノラマ』がある街です

(関係ないと思いますが…)。

何度も訪れた行程ですが、

4本ほどの列車を乗り継ぐので、

注意に注意を重ねます。

降りるホーム、乗り継ぐホーム、

それまでに何分の待ち時間があるかを確認します。

ドイツもスイスも列車は

出発前のベルを鳴らさないで

静かに出発するので注意が必要です。

日本人の私から見ると、

そんなの無理だろうと思ってしまうのですが、

ないならないで済んでしまっているからすごいです。

ニーダーさんところに電話で連絡をしたところ

、とてもひどい風邪を引いている様子。

迷惑だろう、と行くのをためらったのですが、

「来ていいよ。」との言葉に、

遠慮せずお邪魔することにしました。

イースター前の金曜日に着き、

イースターを一緒に過ごすことになりました。

本来ならば、イースターの日曜日は

娘さんたちと四人のお孫さんたちが

集まるところでしたが、

ニーダーさんが寝込んでいるために、

すべてキャンセルになり、静かなイースターを迎えました。

イースターの朝は

ちょうど夏時間に変わる日でもありました。
ニーダーさんを除いて、

奥さんと娘さん私の3人で泉の水を汲みに行くことにしましたが…

「いつもは、7時にお日様が昇るから、

明日はえっと、一時間時計が進むから、

8時に出るんだっけ、6時に出るんだっけ??」

慣れているはずの人たちが悩んでいます。

結局次の朝、寝ぼけ眼をした娘さんがやってきて、

「目覚ましを一時間早めに設定していたら、

アイホンが自動で一時間早く動いたため、

予定より一時間も早く起こされてしまった。」とぼやいています。

まだ暗い中、泉の水を汲みに出発しました。

場所は、マリア・アム・シュタイン

という小さなチャペルがあるところです。
車を停めると、そこにはもう何台もの車がありました。

そこから、沈みかけのお月様を眺めながら

1kmほど歩きます。お互いに話をしないで歩きます。

そのようなしきたりのようです。

小川の辺を歩くころには、あたりが明るくなりかけていました。

チャペルは崖のところにあります。

崖と張り付いていて、崖も少し掘られて空間ができています。

その手前の、泉というよりは

蛇口から流れる水をみんな

持ってきたビンに汲んでいきます。

そこでは、みんなイースターおめでとう、と挨拶をして、ハグしあっています。

よく知っている人たちのようです。

あとで、

「あの人たちもシュタイナー関係の人たちですか?」

と尋ねると、

「あの場所には、

シュタイナー関係の人はいなかった。

いろんな宗派の人がいる。

宗派に関係なくこのような行事をする人たちがいる。」とのことでした。

途中で、たくさんの行者ニンニクの群生を見つけ、

皆で集めて家に持ち帰りました。

ニーダーさんの奥さんは、

趣味で野草を学ぶグループに参加されており、

昨年教えたフキノトウを集めて、茹で、あく抜きをして、

醤油で味付けをしてビンに詰められていました。

はじめは毒草だと知っておられたので、

大変驚かれて、皆にも紹介しようと言われていました。

ちなみに、ドイツではワラビも毒草として

だれも手を出さないので、我が物顔で大きく育っています。

ニーダーさん宅の食事には

たくさんの野草が使われています。

もちろん摘んできた行者ニンニクをはじめとして、

様々なものが食卓に上ります。

野草以外の穀物その他も見たことがないものが並びます。

ニーダーさんは、食事の時間になると

ベットから起きだしてくると、

寝巻のまま、髪は寝癖が付いたまま、

食欲がないと言って、ヤシの実にストローを差して飲んでいます。

まるで不思議な仙人のようで、

可笑しくてみんな笑ってしまいました。

ニーダーさんが病気の間、

私は自分が注文した

ライアの仕上がりチェックと残してきた

パソコンの仕事に取り組むことにしました。

「なぜに、ドイツまで来て、一日中パソコン?」

って感じですが、ニーダー氏の口癖である、

世界の果ての場所のテラスで仕事をしていると、

ふと、「私がいつも仕事をしたいと思う

広々とした草原って、こんな場所だよね。」と思い当たりました。
とたんに、リゾートしながら仕事している気分になりました。

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