日中はまだ暑いながらも
<夏草や~>のシリーズの終了と共に夏が終わり、
やっと秋らしい日々がやってきたように感じます。
そして、夏を振り返り、<夏が来ーれば思い出す>と。
ちょっと尾瀬に行ってみました。

こんなことを書くと、
また、「よくいろんなところに行かれますね。」
と言われそうですが…
東京出張のついでに頑張って寄ってみたのです。
いつもはそのまま帰るのですが、
この機会を利用しようと頑張りました。
九州から直接行くには遠い所ですからね。

小学生か中学生の時に音楽の時間に習った歌、
<夏がくーれば思い出す。遥かな尾瀬、野の小道…>。
歌と共に、尾瀬は憧れの地になっていました。
歌の力って本当に大きいな、と思います。
山手線で「有楽町」というアナウンスを聞くと、
<有楽町で逢いましょう~>というフレーズが浮かび、
特別な場所のように感じてしまいます。

夕方五時に仕事を終え、
そのまま空港に向かうところを、
電車を乗り継いで高崎まで向かいます。
列車乗り継ぎアプリで調べると、
新幹線を使わなくても20時前には高崎に着く予定です。
ただし、乗り継ぎは4回ほど。
アプリはとても便利です。

ところが途中、武蔵浦和の駅で迷子に!
列車を降りて連絡通路を通り反対ホームに着いても、
他の線の乗り場が見当たりません。
振り返ると、ベビーカーに子どもを二人乗せた男性の方もキョロキョロしています。
「大宮の方に行くんですか?」と尋ねると、
「そうなんです。ホーム違ったようなんで、一緒に戻りましょう。」との返事。

一旦エレベーターで下に降りるも、
もと来た通路しかありません。
そこにまた一人、エレベーターから女性が降りてきてキョロキョロ。
男性が「大宮へ行かれるんですか?」と訊くと、
「はい。」との返事。

迷子の吹き溜まりになって、妙な連帯感が生まれます。
男性が「この駅、分かりにくいんですよね。
実は私こう見えてJRの職員なんですけど…」と妙な告白。

結局またエレベーターで上がり、
ホームの先の方に左側に入れるような隙間を発見。
「JR職員が駅で迷うという、話のネタにさせてもらいますね!」
「それやめてください!」
とあいさつを交わし駆け出しましたが、
結局予定の電車に間に合わず、
乳母車と一緒に乗ることになりました。

まあ、列車が遅れても19:58には高崎駅に着くし、
と安心しながら駅で降りて、レンタカー屋さんにたどり着くと、
入り口の扉に「20:00まで」の文字が…。
中に入って「遅くなってすみません。」というと、
「一応電話をかけました。」との返答。
スマホを見ると確かに着信が…
それでもにこやかに応対してもらい、
レンタカーで無事出発しました。

車で寝て朝早く尾瀬へとも考えたのですが、
仕事で疲れていたので途中の温泉宿で一泊することにしました。

途中コンビニに寄って夜ごはんと、
次の日のパンを買って宿屋に着きました。
宿では若い方が受付をしてくれました。
東京でパソコン関係の仕事をしていたという方に、
「なぜ、わざわざ九州から?」と訊かれたので、
「夏がくーれば思い出す…」と歌うと、
「なんですかそれ?」との反応。
「こ、これは有名な尾瀬の歌ですよ!」と言うと、
「へー、知らなかった。」と言ってネットで調べて、
「あっ、ほんとだ!」と驚いた様子でした。

次の日、目を覚ますと雨の音がします。
「仕方ないか…」そう思いながら、
カップ麺を食べ、鳩待峠を目指して出発です。
山奥で、無いと思っていたコンビニが途中にあり
(グーグルマップで調べれば分かることでした)、
コーヒーを買ってさらに進みます。

この道路は日光に向かうルートでもあるようで、
結構家が周りにあります。
至る所に「尾瀬」の文字が見え、
自ずとテンションは高まります。

戸倉温泉というところにやってくると、
たくさんの宿泊施設があり繁盛しています。
と、突然、案内の人に右に曲がれとの合図。
停まって尋ねると、
「ここから鳩待峠まではシャトルバスになるので、
向こうの駐車場に停めてください。」とのこと。

駐車場に車を停めて、シャトルバスの切符を買います。
「1300円で往復ですか?」と訊くと、
「片道です。」との答え。
「危ない、危ない!」
2千円しか持っていなかったので、
再度お金を取りに戻ります。

白山に登った時に、
雨でお金が茶色に染まった経験から、
お札をしっかりビニール袋でくるみます。

バスは1時間ごとで、次の出発まで30分ほどあります。
人が集まればその間でも乗り合いタクシーに同じ切符で乗れるそうです。
雨のせいか、残念ながら人が集まらず、結局バスで出発です。

バス停のおじさんに「ここは公共の施設ですか?」と質問すると、
「企業体の運営です。」との答えでした。

バスに揺られながら坂道を上ること30分、
鳩待峠に到着です。
そこにもたくさんの乗り合いタクシーが駐車しています。
乗り合いタクシーといってもワンボックスの大きい車です。

いつもはたくさんの人たちで賑わうのでしょう。
というか、周りから「尾瀬は人が多いよ!!」
と脅かされていた割には静かです。

バスを降りていよいよ尾瀬へ山道を歩きます。
鳩待峠からはずっと下り坂です。
考えてみると峠ですから当然です。
疲れてから戻ってくるときは上り坂です。
「行きはよいよい、帰りは怖い。」
と歌いながら歩いていきます。

周りからは鈴の音が聞こえてきます。
そう脅かされたことその2。
「熊には気を付けてね。」
でした。

九州出身なので全く頭になかったのですが、
周りの人たちは鈴を身に着けて歩いています。

「行きも怖いし、帰りも怖い。」

歌の歌詞がいつしか変わってしまっています。

2025/10/03 井手芳弘

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