今回、二回目の遠征に出かけています。
思えば、夏休みは私にとっては、
地方周り(ごめんなさいあえて地方と言いたいものですから)の時期で、
毎年この時期を切り抜けられるか、というのが鍵になっています。
今年はそれに加えて店の独立もあり、てんやわんやの毎日です。
まあ、以前からてんやわんやではあったのですが。
お盆明けの16日と17日にまず福間にある賢治の学校で、
5年生以上の子どもたちとの合宿を行いました。
この賢治の学校は以前八女(やめ)にいらっしゃった牧野さん夫婦が
新たな場所を見つけられて借りられた場所で、この地を拠点にして、
幼稚園をはじめとしてさまざまな活動を精力的にされています。
奥さんであるナミさんのほうは、半年間、ドイツのシュタイナー学校で研修され、
福岡市の南区でシュタイナー保育を行なっているこひつじ幼稚園の卒園生を中心とした、
シュタイナー教育による土曜クラスの先生もされています。
この賢治の学校には長年お世話になり、
昨年から始まったこの夏の講座は小学校高学年以上が対象で
3日間の合宿の中で周りの自然について学んだり、楽器作りをしています。
昨年も5人の子どもたちと下関から参加された勝原さんが今年も参加してくれました。
今年は午前中の講義は植物の話と午後はパンフルート作りを行いました。
大人も交えた一日目はみんなの興味に合わせて最初から講義が脱線してしまいました。
二日目、何とか木の話をまとめ、みんなで大木を見に行きました。
その間に夕日を海に見に行くという体験もしました。
午後の手作りは自分で竹を加工しながら音を合わせていくという体験です。
パンフルート(サンポーニャ)のほうも、2日目には各自完成しました。
自分自身で楽器を作り音を合わせていくという体験は、この年代の子どもたちにとって、
聞くという受動的な行為と作業していくという能動的な行為を結びつけるとても大切なことだと思っています。
賢治の学校の合宿を終えると次の日、次の講座の目的地である那須に向かいました。
那須にはシュタイナー幼稚園のパイオニアである高橋弘子先生が始められたみふじ幼稚園があり、
そこで3年前より、シュタイナー学校が始まりました。
学校の体験も含めた合宿が昨年から始まり、
二回目の今年は8月19日、20日に学校の1〜3年生の子どもたち、とその先生方、
それに16家族の方々が参加して行われました。
講師陣として、ドイツ在住の山本典子先生、
ドイツでシュタイナー学校の担任をされているアレクサンダー・ミュラー先生、
それに私の三人が当たりました。
そこで、子どもたちと音楽の体験、英語の体験、
それに大人も交えて「自然とお日様とのお話」の授業、自然観察、川遊び、
飯ごう炊飯、キャンプファイアー、そうめん流し、などさまざまなことをやりました。
いつも子どもたちと授業をされている三先生方は
授業のリズムの部分をもたれる以外は食事の準備やその他さまざまな雑用などの裏方に回られていましたが、
このリズム部分はとても素敵で、先生方の授業を受けてみたい、という声も上がっていました。
黙々と働かれる先生方の姿はとても印象的で頭が下がる思いでした。
もちろん講座全体の背後で高橋弘子先生が温かく見守られていたのは言うまでもありません。
講座が行われた那須のみふじ幼稚園と学校はとても自然の豊かなところにあり
(この地域は有名な観光地でもある)、この自然のなかで二日間、
子どもたちはとてものびのびと過ごし、それぞれの顔がとても生き生きとしていました。
二日間の講座を終えた後、先生方と反省会をし、唯一空いた一日を遠野で過ごすべく、
6時の新幹線飛び乗り、まだ見ぬ憧れの地、遠野に向かって宿も何も決まらないまま出発しました。
「ま、いいか、私の人生自体そんなもんのようだし、
泊まるとこなければのベンチかなんかで野宿すればいいし。」と、
各地をさまよっていた昔の野生がちょっぴり目覚めて
どこかで喜んでいる自分がいるのでした。(つづく)
2004.09.03.