第31回 ある夏休みの日々(不思議なものたちに囲まれて)
夏休みは、普段とは違った忙しさです。
いつもは定期の講座の日々ですが、夏休みは特別講座などなどで動き回るからです。
普段とは違い、慣れないことも多いので、どうしても時間的に差し迫ってきます。
まあ、そんな中でももちろん楽しみがあります。
その一つは飛行機に乗って外を眺めることです。
撮ろうとしたのは真ん丸い太陽の像でした。
毎回思います。
「もう何度も空を見た、何も新たな発見はないだろう。」
でもやはり、新たなものはあるんですね。
はっきりとは撮れていないのですが、
確かに肉眼でははっきりとした形の真ん丸い太陽が映っていました。
今まで、海や川の上を飛んでも、
ついぞこのようなはっきりとした太陽を見ることはありませんでした。
じつはこの時期、水田に水が張られているために、その水面が鏡の役割をしたのでした。
遠くから眺めた場合に、どうして深い海ではだめで、浅い水田では像がはっきりと映るのか?
考えがまだそこまで付いていきません。
考えなければならないことが多くて困ります。
なるべく情報量を増やさないようにして、身の回りのことだけを考えようとしているのですが、
そこから次々に分からないことが湧いてくるから始末に負えません。
空港に降りたち、
重たいかばんを両手に持って背中にはリュックを背負って列車の来るホームまで歩きます。
何もポスターが入っていない看板の横を通り過ぎます。
何かが気になって後ずさりをして、じっと眺めてしまいます。
「うーん、なんとグラマラスな看板だろう」
「これほど迫力のあるポスター見たことない。」と目を奪われます。
さて、つれづれでも紹介した東京の狛江の会の講座が終わり、今回は光の館に向かうことにしました。
昨年は遠野に向かいとても印象深い体験をしましたので、
今年はそれに負けない体験を、とばかりに計画しました。
皆さんも、昨年遠野だったから、今年は一体どこに行くのだろう、
と期待されていたのではないかとプレッシャーも感じていましたし(誰もそんなことは期待していません)。
ジェームス・タレルの作品を追う私は、新潟の地にあるこの光の館にぜひ行ってみたいと思っていました。
宿泊型の体験施設で、宿泊しながらタレルの作品が体験できるという、
タレルファンにはよだれが出るようなものです。
できれば、ここで光についての講座をすれば、交通費も宿泊費も浮くし、
などという不埒な考えを抱いていたのですが、
その講座の計画まで待ちきれず、一人で下見ということになりました。
新幹線と在来線、ローカル線(第3セクター)を乗り継いでたどり着いたところは十日町。
そこからタクシーで走り、山間の建物にたどり着きました。
見学時間が過ぎて、到着したのですが、宿泊者がいないということで、特別に案内してもらうことに。
畳敷きの和室では天井が開き、まるで照明器具のように、
四角く切り取られた空が不思議な青い光を放っています。
端正な和室の天井が開いているなんて、あまりに奇抜すぎて不思議な感じになってしまいます。
2005.08.05.