第61回 逃がした魚は大きい

 

いい天気が続きます。

なんとはなく、静かな日々です。

ついつい光の中に意識が深く浸かり込んでしまいそうです。

こういう日は、ついついボーッとして、

こんなことでいいんだろうかって、わけのわからないことを考え始めたりします。

・・・ううん、これはブログだったのだろうか?・・・

こういう日はやはり落ち着きません。

一つは、「こんな天気のいい日はもったいない、ああ日向ぼっこに最適なのに。」

「ああ、ボーっとしたい。ボーっとしたい。もっと人生を深く考えたい・・・。」と考えてしまうのです。

別に日向ぼっこのときに深く考えたことなんかないんですけどね。

そういえば、この季節、水の写真をよく撮りに行っていたように思います。

水の中の影や、光の筋やいろんなことに気が付いたのもこのころだったように思います。

「考えてみるといろんなことがあったんだなー。」

「そういえば、HPの更新がまたやってくる。そういえばつれづれの写真が取れていない、

最近写真撮ってないしなー。」「どうしよう。」

「そもそもどうしてつれづれを2週間おきに書き始めたんだろう。」

「HPにも一月おきって書いてあったのに。最初に勘違いしたんだろうな。」

「勘違い多いしなー。」

「でも書き始めたらもうやめるわけにもいかないし。」

いろんな思いが頭の上を通り過ぎていきます。

とりあえずシャワーでも浴びよう。今日はいい天気・・・

ふと、風呂の残り湯を眺める。

 

 

ああまただ、・・・よりによってこんなときに非常事態・・・

少しにごった水に窓からの光が差し込んだ底の方に

縁をぼんやり明るくぼかした光の四角い短冊がなんとも美しい色合いをしています。

そして、おまけにその短冊の中に明るい星が2つほどなんとも心憎い配置、

これはもう花札に匹敵するほどの決まりようです。

でも、さすがに今走ってカメラを取ってくるわけにも行きません。

そうするうちに絶妙な星がなくなってしまいました。

よしそれじゃー、ってなわけで、泡を作るためにお風呂用洗剤をその中に入れたところ、

泡ができるどころか、水がにごってしまって、

それじゃーって、石鹸シャンプーを入れても事態は悪くなるばかり。

風呂場から上がり、車からカメラを取ってきたときは、

もちろんもう形はまったく違ってしまって、元のあのすばらしさは見る影もありませんでした。

ああ、幻の水花札・・・

 

今日は少し遠出

夜明けまで仕事をした後、たまにはいいかな、よく仕事をしてるし、

最近休みもなかったし、誕生日明けでもあるし・・・、

どっちみち仕事をするのなら、景色がいいところがはかどるに決まってる。

いろんな言い訳を考えて、少し車を遠くまで走らせることにする。

目標は九重、でもその前に回り道、どうせ九重に行くなら筑後川の景色のいい堤防のところを通ろう・・・

ゆっくりゆっくり走る、通り過ぎる景色は自分の思い出でもあるかのよう。

ああ、あの場所は昔自分が描きたかっただろう場所。

懐かしさがこみ上げてくる。

途中、気になる場所があったら、

少し回り道「いいさ、時間はとりあえずあるし、気になることを残しておかないようにしよう。」

(・・・私の人生、回り道だらけだったのだろうか・・・ひょっとして今も回り道?)

 

 

ふと、川を眺めると一人のおじさんが川の中でなにやらやっている。

えーい!気になるからUターン。

川べりにたどり着いてみると、仕掛け網があり、

その横でひざまで水につかりせっせと雪かきのような板で川底の石をならしているように見える。

「さすがに聞けないなー、こんなに遠いんじゃ。

川の中に入って行って聞くわけにも行かないし。」

「でも気になるなー。でも今回だけは諦めよう」そう思いながら、

視線を川の反対側に向ける。

そこには、得もいえぬ美しい波が漂う。

 

 

あーっ、またそよ風とともに最高のさざ波が訪れる。

シャッターを下ろそうとすると電池切れ、急いで車で充電しに戻る。

そこにちょうど、ちょっとだけ怖そうなお兄さんが車でやってきて

プーッとクラクションを鳴らして、「オーイ!」と私のほうに手を振る。

私は、「えっ?こんな人知らないけどな。」と思いながら近寄っていくと、

どうもその人は川仙人のほうに合図をしたようで、

私の前を知らない顔をして通り過ぎると川面の階段に腰を降ろし、仙人を眺める。

ちょっと怖そう、でもチャンス!

「あのー、あの人は何をされているんですか?」

私を迷惑そうに不審そうにギロッと眺めて「あれは、石をひっくり返して魚が来るごてしとるったい。」

「えっ?」「石にコケがついとるじゃろ、あれば魚が食べるとさい。」

「でも何であそこで?あそこに魚を集めても真ん中の網とは何の関係も?」

「何度言うたら分かるっつね!網は小魚ば採るったい!」

質問して怒られたのは初めてだけど、でもよかった。

なぜあんなことしてるか分かって。

つくづく、夜渡の祭りや迎え火の老人たちが親切だったんだなーと身にしみる。

今思い出した。

しまった、送り火を見逃した。

10月31日だったような。

残念!

 

 

2006.11.02.

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