第64回 結局また来てしまった…

ペロルのホームページの更新素材を書き終えたのが木曜日の夕方の6時、

(期限は12時までと決まっているのにいつも遅れてしまうだめな私)

それでも、前日徹夜して仕事したから、自分を少しほめていいかな、とも思ってしまいます。

そう、徹夜して仕事をし続けたから、ご褒美に・・・これからちょっと一杯、じゃなくて・・・

そう、今日は11月30日迎え火の日(つれづれ第39回迎え火参照)

ご褒美に・・・迎え火でも見に行くか〜

<もう頭の中は、筑後川のほとりのいたる所で炎が上がっているので満杯>

車を走らせ、たどりついたのはやはり彼の喫茶店(つれづれ第59回お月様いくつ?十三七つ参照)

そこで、またマスターに「今日は、迎え火の日ですよね?」

「ああ、『どうごもり』って言うかな。」「それだったらここいらはこの前の日曜日にやったよ。」

「エッ?迎え火って11月30日の今日じゃないんですか。」

「かも知れんけど。子ども会で、子供たちがやるんで、今は都合のいい日にやってるし。」

「それじゃあ、ここいらあたりで今日やっているところはないですかね。

去年は確か、11月30日に近くでやっていたように思うんですが?

近くで煙が上がってたし。」

「ないとおもうな。」

「そうですか・・・。」

せっかくやってきたのにという気持ちもなぜか起こらない。

<まあいいさ、なくったって。>

という妙な達成感と安堵感&確信。

車を走らせて戻りながら、

<そういえばここら辺で煙が上がっていたような、

そう、ここはこの前、夜渡の祭りに来たところ>やっぱり何もやってないか。

<あの煙は何か別のものだったんだろうな・・・>

<去年の祭りが懐かしいな。>

(私の中では去年の小さな迎え火が、

そこらじゅうで燃える炎の祭りになってはるかに明るく輝いているから不思議)と、

諦めかけていた矢先、ある神社の近くに怪しく見える炎と煙。

あれは正に迎え火!?

近づいていくと、社に灯りがともり、その前で焚き火がたかれ、

その前にはおじさんたちだけでなく、おばさんたちまでも。

やっぱりあったじゃないか!

ああ、この情景を写真にとって皆さんに見せられればいいんだけれど。

たぶん、これを写真で表現するのは無理だろうな。

走りながら確認し、Uターンして戻ってきてみると、社の電灯が消えてしまって暗くなっている。

車を止め、今度は前回と違い、はっきりとした目的を持って歩み寄る。

<変に思われないかな。確かに変なやつだし。>

近づくと、妙な親近感を持って迎え入れられる。近くの人に間違われたみたい。

「すみません。あたらしてもらって、ご利益に預からせてもらってもいいですか。」

「いいとも いいとも え、どちらから?」

「佐賀から?」

「そりゃ遠いところをわざわざ。」

電灯の消えた神社にお参りをして火のところに戻ると「お神酒はいかがですか。おにぎりは?」

「えー、今回はお神酒とおにぎり!!」お神酒をいただきながら、

そこの代表みたいなおじさんに話を聞く。

というか、自然に話が始まる・・・

迎え火に照らされた空は、その話から生まれる情景で埋め尽くされる。

お年寄りの話をこんなにありがたいと思ったことがあっただろうか。

その話は夜空の深く深くまで染み渡る。

この神社の由緒、以前の祭りの様子、五件で支えている大変さ、この地域の暮らしの様子など、など・・・

そうこうしているうちに皆さん帰り支度、「祭りは何時から何時までなんですか?」

「6時ぐらいから9時ぐらいまでかな。」

<そうか、もう終わりなんだ、もっと早くくればよかった>

「しばらく、火にあたって帰っていいですか。酔いも醒まさなければいけないし(ほとんど飲んでない)。」

「ああ、いいよ。」

その後、皆が帰り後には私と火の始末に残った作業服を着た無口のおじさんが一人。

おじさんは焚き火の中の大きな塊をひっくり返し、火をばらばらにする作業を黙々と続ける。

私は、時々火花が空に舞うその作業を眺めつづける。

「昔はさ、火を取った跡にござ敷いて、その上で一晩寝たもんだ。

地面が暖かいからぜんぜん寒くないんだ。」無口なおじさんがぽつぽつと話し始める、

とても聞き取りにくい言葉で。

私は、全神経をその言葉を理解することに向ける。

「昔は男たちは夜通しここにいて酒を飲んでたもんだ。昔はこんなときしか酒飲めなかったからな。」

「五件の人たちは、石高(こくだか)なしの寺社守侍で、神社の土地を耕作することで、その報酬に当てていたんだ。」「若いもんも居るけど、こんな祭りには出てこん。」

「うまい魚のあるとこに飲みに行くほうがいいんだろうよ。」

「えー?酒の肴よりこっちのほうが数倍楽しいと思うけど?」

先ほどの代表のおじさんからは聞けない別の側面の話の世界が広がる。

それは、先ほどの光の元での話とは違い、

暗がりの中で残り火がチカチカ瞬く中での闇の世界での話しのよう・・・

すべてが去った後で、残り火のそばに横たわって空を眺める。

葉が落ちて箒のようなサクラの枝先から星が瞬く。

それ以外の場所は暗闇。

意識が届かない闇がとうとうと続く。

闇の中の小船の上で横たわっているような気持ち。

星たちと繋がる。

この地をずっと取り包んでいた空気が意識が向こうの闇から流れてきてあちらの闇へ流れ去る。

今度は、この地との語らいが始まる。

・・・

しかし、このことが、この後、

悟りにも似た思いもしない展開の前のみそぎのような体験だったということは、

後で知ることになる・・・

というところで、残念ながらお時間になりました。

続きは残念ながら、正月明け、ということで、乞うご期待(だれも期待してないかも)。

まあ、旧暦で行くとまだ正月は明けていないのでいいのかも。

それでは、本年もつれづれをごらん頂ありがとうございました。

これから、クリスマスの雑踏の中にまみれてきます。

2006.12.14.

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