第66回 一休み

 

前回は私なりに力(リキ)を入れて書いてしまいました。

思えば前回の橋の上での体験は12月1日の体験でしたからかなり前の体験ではあります。

あの体験を引きずって日々の仕事に差し支えてはいけません。

でも、ふとしたときにフラッシュバックしてくることがあります。

時々ボーっとなります。

でも、いやな体験がフラッシュバックしてくるよりもいいですよね。

そうこうしているうちに時は流れていきます。

お正月前の年中行事(私だけ)は、杉の葉燃やしです。

 

 

子供たちのりんごろうそくで使った杉の葉を積み上げて火をつけます。

一月近く経って乾燥しているのと、樹脂成分がたくさん含まれているせいで、とにかくよく燃えます。

高い竜のような炎と煙が立ちあわられ、一瞬たじろぎます。

それと、少しどぎまぎします。

 

最近では、勝手に大きな火をたいてはいけないようになっているようで、

あれほど燃していた母親が注意します。

そういえば、昔は田んぼの至る所で

ビニールハウスの廃ビニールが黒々とした煙を立てて燃えていたのを思い出します。

いやな匂いと共に、「これって絶対害があるよね。」と思っていました。

いまでは、その光景がなくなったのはうれしい限りです。

 

最近、いくつかの火の祭りを見ました。

それまで分からなかった火の祭りが、

シュタイナー教育で火を学ぶ中で少し分かってきたような気がします。

西洋に行って、東洋の祭りの意味が分かるようになるとはなんとも不思議なことです。

 

そういえば、オイリュトミーを学んだりしたことで、

日本の神楽などの舞の精神性が少し理解できるようになって来ました。

また、やはり、シュタイナー教育で天文学を学ぶ中で

(これはよく考えると学んだんじゃなく、図書室で出会ったんだ)

日本の旧暦と祭りのかかわりについてよく分かるようになってきました。

 

ただ、これはこう決まっているんだ、と言われるのではなく、

自分で理解できていくことはいいことだな、と思います。

こういったことを少しでも子供たちに伝えたいと思うのですが、なかなかうまくいきません。

努力と工夫が足りないのでしょうか。

 

 

一度このような煙を大人の教室で描いたことがあります。

山の端の下の煙の色と空の部分の煙の色を違う色で描いてもらいました。

背景が暗い手前の煙を青い色、背景が明るい手前の煙をオレンジにしました。

一見、不自然な感じですが、そのことで、煙が煙としての実在感のあるものになりました。

煙の色合いと動きの中に、色合いのさまざまな要素、

流れのさまざまな要素が詰まっているのを改めて感じさせられます。

この杉の葉焚きも自分の一つの祭りにしたいなーと思っています。

・・・

 

 

時々通る道でいつも見ている風景があります。

あああの場所いいな・・・頭の片隅に奥の休息所がチラッと入っています。

手前の水田と共に四季折々に違った風景を見せています。

時々通る道、たまに車を止めて写真を撮ったりします。

あの場所は取りません。なぜか。

ある日、ふと思いつきます。「あの場所に言ってみよう!」って。

本当にすぐの場所。

こんなに近いのにどうして今まで行こうとしなかったんだろうって思いいます。

そこは、本当に小高い丘。

あたりは普通の山林です。

そこだけが木が切られ、草たちも枯れていい感じに光を受けています。

どうも、植樹祭があった場所のようです。

木はまだ大きく育ってはおらず、

まばらな中に光の粒を含んだ風が気持ちよさそうに吹き抜け、草をなでていきます。

 

そう、今は光が小声でささやく時期、一番中身の濃い時期、

こんなときは、受けるしかありません。

さっそく、草原で仰向けになって見ると、世界はまったく変わります。

風は止み、草の借景で不必要なものは見えなくなり、一人だけの至福のときがおとずれます。

「空は抜けるように青い。」

そして、いつも思うことは、「どうして今までこんな時間を取らなかったのか。」ということです。

自分の一番の趣味が何だったのか(日向ぼっこ)を時々思い出します。

 

しばらく、ねっころがった後、後の仕事のことを考え、やおら立ち上がります。

そこから見える景色は今度はいつも自分が走っていた道路です。

でも見るところ(立っている場所)が違うので妙な感じです。

 

そういえが、一度だけ飛行機の中から自分の家を見たことがあります。

それは、なんとも表現し難い懐かしいような不思議な体験で、

そのときの様子がますます心に生き生きとしていくのを感じます。

 

そういえば若いときに、

「自分は煙と山の木々に当たる光のことをずっと考えて行きたい。」

といっていたのを思い出しました。

そのようなことを今やっている自分に気がつきます。

 

2007.01.19.

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