第67回 何とか間に合った!(?)

 

何とか間に合いました(アムステルダム行きの飛行機)。

乗客の最後の最後に、書きかけのマイレージ登録用紙を手にしながら、

側で「後7名です。」という言葉に安堵を感じながらやっとの思いで乗り込みました。

本来白鳥のように<飛ぶ鳥跡を濁さず>、あ、間違えました。

<掻く足姿を見せず(?)>で行きたいのですが、時々足が見えてしまいます。

・・・ あ、すみません、いつも見えているようです。

それに、白鳥じゃなく、アヒルです、はい。

 

窓の外には気がつくとまん丸のお月様が

先ほどからずっと翼の先にとどまりながら私たちを見守ってくれています。

いや、私と書きたくなってしまいます。

だって、お月様をこんなに意識しているのは私以外にいない、と自負しているからです。

これって、アイドルに熱中しているファンの心理なのでしょうか。

<キャー! ツッキーったら私だけ見てる!!>

私は、動かなくなった一眼レフのデジカメをあきらめ、

おもむろに携帯を取り出し(もちろんオフラインモードです)カシャッ、カシャッと撮りまくっています。

 

 

先ほどはお月様の下に雲が海のように立ち込め、

その中にできた幾層にも重なった細かい紫色の筋が信じられないスピードで遠ざかっていました。

このような光景を見ることがないのでとても幻想的に感じます。

今は、現地時間で昼の2時なのにお日様が沈んでいます。

下に広がる広大なシベリアの北の大地の人たちは

ずっとこの太陽のない夕暮れの状態の元で暮らしているんだな、と考えてしまいます。

太陽がどこに隠れているかは低く出ている満月のお月様が教えてくれています。

このように満月に寄り添ってもらったのは久方ぶりです。

 

その前はちょうどMondknoten(地球から見て月の軌道と太陽の軌道が重なる周期)

に近い37歳ぐらいのころだったかと思います。

あのときは、台風を飛び越えて、東京から福岡に飛んだときでした。

中秋の名月のときで、那須のみふじ幼稚園で講演をした後の満月の夜、

中秋の名月の意味について、今まで学んだことが結びついて、

自分なりに一つの深い理解に達したときでした。

その後もその意識は続き、とうとう飛行機の中で、

自分がある転機を迎えたことを実感したしだいでした。

人生は折り返された、今から自分は変わっていく。

月は祝福するかのようにあたりの雲や飛行機の翼を照らしていました。

私は、お祝いとばかりに、白ワインを注文し、密かに一人でお祝いをしました。

ついついこのことを思い出してしまいました。

 

今回は大きな転機が訪れているわけではなく、

日々、教室と店の業務に追い回されただ、ばたばたと過ぎているだけなのですが、

あのとき(前回の満月との出会い)にまかれた種は着実に育っていて、

今は旧暦遊びの真っ最中です。

昔の人がどのように正月を体験したのだろうか、ということを感じたくて、

今日は旧暦ではまだ12月15日、銀鏡(しろみ)神社では煌々と輝く満月の登場とともに神楽が始まり、

月が隠れるとともに終わっていただろうし、

筑後川では川で禊をした人たちがしめ縄を締めて、

お正月の準備をしているころだろう、と考えてみるわけです

(今の12月より水につかるのが寒かっただろうな)。

 

暦がなくても、お月様を見ていると大体何日ごろかがわかるので、とても便利です。

ただ、正月が来てしまったのに、師走のあわただしさを感じ、

来るべきお正月を待ち望むような気持ちに自分を持っていくのにはかなりの集中力が必要です。

めまいがして少し吐き気を催しそうです。

 

もうすぐしたら、大晦日に向けて月が欠け始め、

完全に姿を消した時に、鬼やらいや鬼火焚きなどの鬼払いが

松明のパチパチと弾ける音と舞い上がる火の粉で行われていたのでしょう。

そう考えているうちに、鬼に投げつける煎った豆が火の粉に感じ始めました。

 

そうしていて感じたことですが、

どう考えてみてもお日様の光の質は今のお正月の前に新たに変わってしまっています。

どう考えても、新たな光という意味ではすでに変わっています。

昔の人たちは何をして、新年と感じていたのか、これはまだ謎です。

きっと何か深い訳でもあるのでしょう。

もうしばらく、様子を見てみましょう、この満月がなくなってしまうまで。

 

ふと、感じました。

月って満月のときだけお月様と呼びたくなるのを。

自分に語りかけられる気がするのは満月の時だ、ということに今ふと気がつきました。

なぜなのでしょう。

また、わからないことが増えてしまいました。

でも、いずれにせよ、見守られている感じは悪くないな、と思います。

 

 

これは、ある子どもが教室のときに書いてくれた絵で、私の小冊子の挿絵にもなっています。

 

2007.02.05.

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