壊れたカメラが戻ってきました。
でもなんだか、以前のようにしゃにむに写真を撮らなくなってしまいました。
本来の私(怠惰な?)に戻ったような気もしています。
その大昔、初めてのドイツ旅行のとき、辺りを見回したら、
自分だけがカメラを持っていなかったことに気がつき愕然としました。
親からも、「料理作ったら作りっぱなし。」「作業したら道具は出しっぱなし。」と怒られていました。
そんな私でしたが、何とかその性格を直そうと長年頑張っては見ました。
考えたらおかしなものですよね。
子どものころの数年に付いた悪習を直すために数十年もかかり、今も続いているのですから。
最近「一生かかってもだめかも・・・」という考えが頭をよぎることがあります。
ホームページの更新でもいつも遅れてしまい、坂本さんに迷惑をかけっぱなしです。
それでも、こうやってどうやらこうやらこなしていくことで、何とか形にさせてもらっています。
ありがたいことです。
今回は、どんな写真を載せようかと写真のデータを探していて、ふとドイツのときの写真に行き当たりました。
この写真はトイメッセで出かけていくニュールンベルクの写真です。
町の中に川が流れていて、その川に鳥たちが遊んでいました。
そう、結構濁った川なんですよね。
濁っているといっても汚いわけではなく、結構流れは速い感じです。
そう、濁った川が見方を変えるととっても美しく見えるというのを
皆さんに紹介したくて一生懸命に取ったんですよね。
大体から、このさざ波の感じに弱いですよね。
ついついボーっとなってしまいます。
最近ライアの音にもボーっとなってしまう自分に気がついています。
要するにボーっとなりたいのでしょう。
あまり紹介したことのないブレフェルト氏の工房の写真が見つかりました。
昔の鍛冶屋をそのまま工房にしています。
私が訪ねるときはいつも冬なので、一段と厳しさを感じます。
これは工房の中で作業するブレフェルト氏です。
真ん中の火床で火が燃えているといっても中はマイナスの寒さです。
そんな中でブロンズのゴングを作るために黙々とハンマーを振り下ろしています。
周りがとっても静かな中にハンマーの音だけが静寂の中にしみこんで行きます。
勿論こうやって力をこめて作業をしていった先にはとても繊細な調律の作業が待っています。
動と静が絡み合った奥の深い作業です。
ブレフェルト氏はもともと現代音楽の作曲家で、
自分の作曲した曲を演奏する楽器に適当なものがなく、
自分で楽器を作り始めた、という人で、彼の作る楽器はとにかく魂に響く深い音色を持っています。
私が訪ねると、いつも音階の話をしながら、
自分で叩いて作った鉄琴とブロンズ琴を使って即興で演奏してくれます。
ハンマーを振るっていた力強さとはまったく違い、とても繊細で、
深みのある不思議なメロディーと響きがやはりこの静寂と寒さの中に消えていきます。
私にとっては、ドイツへの旅は、
このブレフェルト氏の元での体験を代表とした静寂と孤高が
(あえて孤独とせずに孤高としました)極まるように思います。
もっと、この旅を繰り返せば、私もこのずっと引きずってきた混乱から開放されるのかもしれません。
もっと、自分がしっかりして、もっとニヒルになって、かっこよくなって・・・・・・
ア〜ア、遠い話だな〜、自分が持つだろうか〜、ボーっとするだろうな〜
2007.03.16.