第82回 ウサギたちの驚き

まだまだ暑い日が続きます。

秋になって過ごしやすくなったのに、車のクーラーを付けてしまう私は、

めっきり暑さに弱くなったものだと感じていたら、

ラジオから「今日の最高気温の予想は34度です。」とのアナンス。

なんだ、夏の一番暑いときより暑いじゃないか、と妙に納得しました。

そのことが影響しているのかどうかわかりませんが、最近驚くような夕焼けが続きます。

まず、何はともあれその始まりは、あの月食の月の出でしょう。

あたりが薄暗くなったころに銅色の月食の月が、月の出でさらに赤みを増して立ち現れてきました。

よく、人から聞かれます。「どうして月食のときの月はあんなにオレンジなんですか?」と。

そのような、問いを持つということは物事を自分のこととしてより深く理解するきっかけになります。

そのような問いを持たない人に、いくらその色についての説明をしてもたぶん、

何も入っていかないのだろうな、と思います。

子供たちの教育についても同じようなことが言えると思います。

大切なことは、身の回りのことに興味関心を持つ子供に育てること、ではないかと考えています。

でも、このことが一番難しいことのように思います。

さて、その説明として(その他の空で起こる色彩現象に関しても)よくメディアで言われるのは

「光の屈折でこのような色合いが生まれています。」という説明です。

そういわれて、「そうか、光の屈折か」と納得してしまうことも多いのではないでしょうか。

そして、他の人に「光の屈折のせいだよ。」と説明している自分がいたりします。

でも、よくよく考えてみると、このことでは何の説明にもなっていないことがわかると思います。

そのような便利な言葉(?)を私は、いくつか知っています。

20年ほど前、私がほんの少しの間中学校の非常勤講師をしていたときにはやっていたのが<ファジー>でした。

技術の時間に生徒たちに、「どうしてこのようなことが起こるのかな?」と質問すると、

生徒たちは「先生、ファジーよ、ファジー」とよく答えていました。

その後現れた言葉はDNA(遺伝子)です。

これも便利な言葉で、「植物はどうしてこのような形態をしているのでしょう?」と問いかけても、

それは遺伝子がそうなっているから、という言葉でおしまいになってしまいます。

伝統的にある言葉として<才能>という言葉も同じようなものではないか、と私は考えています。

さて、本題に戻りましょう。

<どうして、月がオレンジ色に見えるか?>ですが、そのときにヒントとなるのは、

オレンジ色に色づいている場所から見ると世界はどのように見えているか、ということです。

それでは、月の世界に旅をして見ましょう。

想像の世界では、ロケットよりも円盤よりも早くたどり着けるから便利です。

私たちが、あっ!月食だ、月がオレンジ色だ。」と騒いでいるころ月のウサギたち(?)は、

久々の日食に大騒ぎをしています。

それまで太陽が煌々と輝いていて月面上を照らしていたのが、

にわかに地球と重なり始め、あたりは急に夜の世界が支配します。

もちろん月からの空には昼間でも太陽と共に星たちが見えるのですが

(太陽のそばの星たちを見るのは危険です。目がやられてしまいます。)

太陽は直径で4倍の地球にさえぎられ、あたりはまったくの暗闇と化してしまいます。

月のウサギたちにとっては太陽と地球の大きさは同じではなく、

地球がかなり大きく(直径で4倍)、その地球が青い光を放ちながら満ち欠けしています。

地球が青く真ん丸く輝くときなど、夜の月面は、青い光で輝き、幻想的になっていて、

ウサギたちはさんぜんと青く輝く地球を楽しみながら、青い団子を食べています。

この時、ウサギたちはこの半月間(14日間)の昼の世界の中で、

煌々と輝く太陽に照らされてその身を岩陰の住処に身を潜め、餅をついていました。

新地球(新月のようなもの)の時には、必ず餅をつかなければならないのです。

「いつもながら大変だ、この仕事だけはいくらやっても慣れはしない。」とウサギたちは思っています。

と急にあたりが暗くなりました。

ウサギたちは驚いて外へ出ました。

長老のウサギだけが静かに座っていいました。「あっ地球が!」ウサギたちが口々に叫びました。

みなが見上げたその上では、それまで縁だけが薄い紫色のリングだった地球の中に

太陽が飲み込まれていくところでした。

飲み込まれていくところのリングはオレンジに輝き、

それから黄色、緑、青、紫と虹色のリングに変わりました。

ウサギたちは、口をぽかんと開けてそれを眺めているだけです。

それから、その虹色のリングは全体として薄いオレンジのリングに変わりました。

昼間だった世界はとたんに夜の世界に変わり、あたり一面に星たちが輝いています。

その中にひときわオレンジのリングが輝いているだけでした。

その背後には、それを祝うかのようにおとめ座が輝いていました。

つづく

2007.09.21.

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