第87回 たどり着いたらそこは残り火

 

今日は迎え火。

いそいそと店を閉め、宅急便に荷物を届け、高速を飛ばしてやっとたどり着いた・・・

・・・そこは、残り火・・・

私を待っていたのは、

神社の鳥居と、社と、木々と

そしておきになった残り火。

・・・空には満天の星たち・・・

去年お話をした人々は家路についてしまった。

昨年聴いたお話を懐かしく思い出す。

ちょっぴり、いや、かなり、さびしーい

でも自分にも責任がある。

時間は気になっていたんだ。

たどり着いたときは、確かにここには赤々と焚き火の火が燃えてた。

でも、ほかを探したんだ。そこを通り過ぎて、どこか他に迎え火を焚いていないか。

一箇所は見つかったけれど、そこは煌々と電灯で照らされていたので敬遠。

ずっと走った。

ほのかな明かりと煙とそのにおいを探して

でも、見つからなかったんだ。

・・・どうして、どこも 迎え火をたいていないんだ?・・・

その代わり、時々闇の中に輝く、クリスマスイルミネーション。

まるで、スモールラスベガス

探し疲れて戻ってきたら、誰も居なかったってわけ。

誰もいなくったって仕方ないさ。自分の責任なんだから。

そのかわり、私を待っていたのは、

神社の鳥居と、社と、木々と

そしておきになった残り火。

・・・空には満天の星たち・・・

すべてはチョーー質素

でも、いつもそうだったんだ、そこの人たちが居なくなった後に一人残って二次会やってたし。

それはそれで、望んでいたこと。

ただ、二次会から始まったから少し調子狂ったけれど、宴は(間違った祭りは最高潮)

祭りを見守るのは

神社の鳥居と、社と、木々と

そしておきになった残り火。

・・・空には満天の星たち・・・

そう忘れていた。地面の暖かさ(かなり熱い、靴底焼けそう)

空気はかなり冷え込んでいる

身をかがめ、残り火に手をかざす。

大地の暖かさと顔に当たる残り火のほのかな照り返し。そして、懐かしい香り。

どこを思い出すんだろう?

いつを思い出すんだろう?

それは、子供のときの風呂焚きのにおい?

大人たちがたてるペッタンペッタンという小気味いい音に目覚め

うきうきしながら丹前を着て蒸篭のところに腰をかけ、嗅いだ煙?

大学の時によく通った山小屋のストーブ?

ネパールでトレッキングしながら、嗅いだにおい?

・・・すべては過ぎ去っていった・・・

いかんいかん、感傷的になってしまった。

残り火のおかげで分かったことがある。

それは、どうして羊飼いが焚き火の前で眠っていた時に天使たちが現れたかということ。

どうしてかって、焚き火の壮観な炎では、そこに居る人たちや身近なものは見えるけれど、

遠くの木々や田んぼや、そして、空に輝く星たちは敬遠して遠くで見守っているいるんだ。

そして、その背後に居る天使たちも。息を潜めて見守っている。

でもね、その炎がなくなり、おきになったとき、

木々はゆっくりと語り始め、星たちは空から降りてきて語り始めるんだ。もちろん、その背後に居る天使たちも。

・・・そこは、残り火・・・

私を待っていたのは、

神社の鳥居と、社と、木々と

そしておきになった残り火。

・・・空には満天の星たち・・・

そう忘れていた。地面の暖かさ

(かなり熱い、靴底焼けそう)

 

2007.12.07.

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