満点の星空に見つめられて眠る大地は
しばし、白い朝もやに包まれる。
その中を、ふと早起きして歩いてみる。
あたりは、神秘が染み渡ったすがすがしい静けさに包まれている。
ふと足元に目をやると、
草の葉という葉の先にはかわいらしい端正なまん丸の小さな水滴。
ホッという表情をして、ちょこんと行儀よく丁寧に葉先という葉先をちいさな、
ちいさな水晶玉たちが飾っている。
それは、葉という葉を真珠で飾り立てているよう。
草たちは水滴の真珠で身を飾りながら待ち続けているかのよう。
一瞬で世界が明るくなる。
そして現れたのは、虹色の真珠たち。
太陽を背にしてそっと近づくと、七色の真珠の粒たちがわたしを出迎える。
アッ!ここに虹の真珠のネックレス。
よく見ると、それはくもの巣に掛かった虹色に輝く水滴の連なり・・・
草たちはお日様の来訪を祝って祝賀会。
わたしは、虹の真珠を眺めながら草たちとお日様の来訪を喜び合う。
それは夜明け頃に起きるドラマ
人知れず、静かな暗闇の中、
しかし、全てが夜明けを前にして
待ち望んでいるとき
人知れず空から降りてくる露のしずくたち。
露たちは静かに息をひそめながら待ち続ける。
何を?
そこに現れたのは煌煌と輝く太陽
世界が息を吹き返し、喜びに輝くとき
露たちはその中心に輝きをともし
一つ一つが輝く
あるものは明るく
あるものは色付いて
ここにあるのは数限りない宝石のしずくたち
人々に それぞれの思いを伝えながら
日が昇るにつれ そのすがたを 天に還す
それは、ひとときの天からの贈り物
—世界を映すと言うことがそんなにも美しいことなのか?—
あのね、とってもすばらしいものを見つけたよ。
露の虹色の真珠のネックレス。
それはそれはとっても素敵だった。
おまけに周り一面が虹色の真珠でちりばめられていたよ。
えっ?いいな、それほしいな。
あのね、持ってきてあげたかったけど、
持ってこれなかった・・・
お話しすることしかできないよ。
えっ?いいな、それほしかったな。
本当にボクがあげたいものは
朝露の水晶玉でできたこの虹の首飾り
ボクができることはそれを示すことだけ
本当に美しいものはあげられない。
それを見せることしかできない。
草たちがつけている水晶玉のネックレスは
君にはあげられない。
2008.07.04.