102 虹を探しに
虹を探しに出かけよう。
空にかかる大きな虹を
わたし自身と出会うために。
わたしの心の中の大切なものとお話しするために。
虹はないか?
虹はいねーか?
探したけれど、見つからない。
<もう帰ろうよ。>
そうだよね。
虹に出会うためには雨上がりでなくっちゃね。
露の虹に出会うためには夜明けの後。
水道でもありゃ虹が作れるんだけど、
水道も、噴水も
ありゃしない。
虹はないか?
虹はいねーか?
夏の焼け付くような午後の日差しの照りつける中。
空を見たって、お日様がぎらぎらと輝いて、その周りの薄い雲が明るく輝く。
心は乾き、虹色を飲みたがっている
虹はないか?
虹はいねーか?
どこを探したってありゃしない。
そこにあるのは淀んで濁った溜め池。
美しい色合いの水とは程遠い。
こんな日に虹なんて、あるわけないさ・・・
<あれきれいだね、虹色に光ってるよ。>
ふとその溜め池の水に眼をやる。
そこに映っているのは絹の織物のような極彩色のお日様と雲たち。
ふと驚いて立ち止まる。
そして、空を見上げる。
そこにあるのは、やっぱりまぶしい太陽と雲たち。
また、水面に眼をやる。
そこは極彩色の虹の織りなし。
そっか、お日様や雲は虹色に輝いているけど、光が強すぎてその色合いが見えないんだ。
水に映すことで光が弱められて色が見えるようになったんだね。
<この水持っていけないの?>
そうね、お盆があったら、すくって持ち歩けるかも。
<持って帰りたいな。>
お盆を持ち歩こう。
その中に、水を張って、
昼間はきらきら光るお日様や美しい虹色の雲を映し、
夜は、お月様や満天の星空を映そう。
2008.07.18.