104 虹を探しに:お日さまの周りの虹たち

美しい午後の時間、忙しい時間を過ごす。

やることはたくさん。

日常が駆け足で通り過ぎていく。

だって、やることはたくさん。

少し疲れてきた、でも頑張らなきゃ。

やらなくちゃいけないことがたくさん。

でも、今日の日差しは何とも美しい。

ふとなんとはなしに空を見上げる。

太陽の周りには美しい暈がかかっている。

太陽を中心に赤から青に向かう虹の輪ができている。

その輪の中の左右の場所にはひときわ明るく虹色に輝く場所がある。

そして、はるか高みには目を疑わんばかりの美しい逆さ虹。

高貴さを伴った静けさで、凛とそこに存在している。

<そこに広がるのは壮大な空のドラマ。>

とたんに、世界が変わる。

それまで目の前の日常がしばし沈黙し、その背後の空間の中に自分の意識が息づき始める。

指さしながら大声で叫びたくなる気持ちを抑えて、視線を再び地上に戻すと、

相変わらずのあわただしい日常が続いている。

誰一人として空の出来事に気がつくことなく歩いている。

なんてことだ。

日々の雑用にかまけてこんなに素晴らしい出来事に気がつかなかったなんて。

自分の周りでは、こんなに素晴らしい出来事が人知れず展開されていたなんて。

ただ、顔を上げればよかった。

ほんのちょっと、視線を空に向けるだけでよかったんだ。

ねえ… 時々考えるんだ。空に遮るものがなかったらどうなんだろうって。

だって、曇ってクリアーに見えないことって嫌じゃない?

空が霞んだり、雲が出ることで、遠くの世界や深く輝く青空も見えなくなってしまうよね。

でもね、この美しいお日さまの輪っかの虹も、さかさまの虹も、

空に小さな水晶のような氷の結晶が浮かんで

お日さまをベールのように薄く薄く取り包むことで生まれているんだ。

もし、お日さまが一人ぼっちで、誰も遮ったり、

光を受けてくれなかったとしたら毎日真っ青な青空が続くだけ。

それは素晴らしい情景だろうけど、やっぱり飽きてくるような気がするな。

世界を日々変化させて興味深くしているのは、

ボクたちを取り巻いている空気とその中に含まれているものだと思うよ。

空気はボクたちが息をするために必要だよね。

おいしい空気を胸一杯に吸い込むことで、疲れやもやもやしていたものが吹っ飛んでしまうことってあるよね。

でも、空気って何も息をするためだけじゃなく、心のためにもあるんじゃないか、って思うかな。

だって、澄んだ青空を見ると心から深く息をしたくなるし、

夕暮れや日の出空や雲の荘厳な色合いを見ていると、心が躍るよね。

そして、時々訪れる神様からの贈り物の虹の仲間たちは、

ボクたちの気持をとても崇高なものに変えていくんだ。

ボクらが見ている青空だって空気がなかったら真っ黒なんだよ。

真っ黒な空の下じゃ心がつぶれて大きく息を吸い込むことができないよね。

あのね、人はね、心の中に、空を持っていると思うんだ。

だからね、空を見ると自分の中の空を思い出すんじゃないかってね。

 

2008.08.22.

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