頭の影探そう、頭の影探そう。
他の人の影じゃなくって、自分の頭の影探そう。
だって、自分の頭の影にしか虹はできないんだから。
自分の頭の影を探せば虹の場所が分かるはず。
だって、空に出る虹は<私>の影が中心
私が作るもの。
* *
「パパーっ!何ブツブツ言ってんの?」
「ほら、飛行機の中でさー、みんな変に思うよ。」
「いつも、いつも、頭の影、頭の影って、とっても変だよ。」
「おまけに、こんな空の上じゃ自分の影なんてできないし。」
仕方がない、それじゃ窓の外でも眺めていよう。
頭の影探そう、頭の影探そう。
他の人の影じゃなくって、自分の頭の影探そう。
だって、自分の頭の影にしか虹はできないんだから。
自分の頭の影を探せば虹の場所が分かるはず。
だって、空に出る虹は<私>の影が中心
私が作るもの。
だめだ、なぜか頭の中からこの言葉が離れない。
ブツブツブツ…
「パパーっ!」「ほらあそこにパパの大好きな虹の輪っかがあるよ。」
眺めると、延々とづづく雲の大平原のところに小さな丸い虹の輪っか。
見つけた。
虹を見つけた。それも小さな丸い虹。
しかもその輪っかの中心には飛行機の影、
飛行機の影が虹の冠をかぶっているかのよう。
虹の冠で自分自身を着飾りながら、飛行機の影は音もなく、雲の上をすべる様に動いて行く。
「自分の頭でなくても、飛行機でも虹ができるじゃないの。」
いやいや待てよ、そんなはずは…
頭の影探そう、頭の影探そう。
他の人の影じゃなくって、自分の頭の影探そう。
だって、自分の頭の影にしか虹はできないんだから。
自分の頭の影を探せば虹の場所が分かるはず。
だって、空に出る虹は<私>の影が中心
私が作るもの。
よくよく飛行の影を見てみると、虹の冠をかぶっている場所は飛行機の頭の方、
どうしてって考えているうちに、ふと自分が前の席に座っていたことに気がついた。
「なんだ、やっぱり同じじゃないか、自分の頭の影に虹の輪っかができているけど、
飛行機の影の中に隠れてて分からなかったんだ。
この飛行機の虹だって私がいるから出来ているんだ。
「それって、私もそうなの?」
そう、それぞれが、それぞれの虹で飛行機の影を飾っているんだ。
「ふーん、何だか難しくてわからないけど、素晴らしいかんじがするね。」
あのね、飛行機の影がずっと遠くに離れていったらどうなると思う。
飛行機の影は小さな点になって見えなくなるけど、
それでも、虹の輪っかの大きさは変わらず残ってるんだ。
「えっ?それじゃ、自分の影はなくなっちゃうの?」
そうだね、でもね、その代り、遠くでみんなの影が一つになるから、
それぞれの虹が一つになるんだ。
「それじゃ、パパが見る虹と私が見る虹が一緒になっちゃうの?」
そう、それだけじゃなくてね、他の人の虹とも一緒になるんだよ。
「へーっ、すごいね。」
2008.09.05.