110 波間
散歩は続きます。
今日は、砂浜の散歩です。
とても澄んだ満月の夜の後、月に清められたすがすがしい朝と一日がおとずれました。
そんな夕方、海辺を散歩しました。
砂浜に寄せては返す波が引いていくとき、
波の後から砂に含まれた水が砂をすりガラスのようにしながら引いて行く場所が生まれます。
さらにその水を含んだ砂と水の抜けた砂のはざまには得も云えぬ青紫のラインが現れます。
天気がよく空がとても澄んでいる日は、この青紫がとても濃く出てきます。
この青い色がどうしてこうも心を打つのかと不思議に思います。
砂という固定された存在と海の水という形を持たない存在の狭間に砂が水に満たされた、
常にリズムとともに動いている場所は、
あたかも生きている私たちの心の動きの不確かさに似ているからでしょうか。
色の体験も同じようにとても不確かで生きているものです。
同じ色を見続けていると時間の経過とともにその鮮やかさは消えていき、
一瞬たりともとどまることを知りません。
私は、しかし、はるかかなたの星の世界を眺めるように、
この生きた世界を通して私たちの内側の永遠の世界にたどりつけるのではないかと考えています。
2008.11.21.