131 移り変わり

秋になり、ある意識が遠ざかっていく。

その意識は影の中に吸い込まれ、白い地面の中に吸いこまれる。

ある意味、ボーッとしてくる。

それは、流れが始まる場所をさらにさかのぼり、

すべてが白みに向かう水面のごとくである。

さざ波に始まる水面は、一体いつからその予感を感じるのか?

予感は白い水面となって空の白み、心の白みと一体化していく。

しかし、目の前から意識が遠ざかるのと並行して、

自分の後ろから明かりが灯るようにやってくる意識がある。

水を眺めている中で、

動きに身を任せている中に映るものは、

周りの風景?それとも、自分自身?映すとしたら、

自分の何を映しているのだろう。

それは、通り過ぎた空からささやきかけてくる雲の視線にも似ている。

現実に存在しながら時間を通り越してはるかかなたに向かう扉のよう。

時として、横からささやきかけてくるものがある。

その言葉に、気がつくようになりたい。

囁きかけているのは自分自身?

自分の中から何かがささやきかけているのだろうか?

水が石の上を流れる。

底の石に触れながら水はさざ波を立てる。

そのさざ波は往々にして、その場にとどまり続ける。

見えているのはさざなみ?

いや、見えているのは水に映る明るい空。

太陽の明かりまではまだ届かない。

水全体を覆っているのは水面?

いや、それは深い青い空のベール。

そこにさしかける光?

いや、そこにあるのは水を透かして明るく見える水の底の石たち。

そこにあるものは明るく輝くことで、

空の反射を通り抜けて浮かび上がってくる。

でも、見えないけれど、そこにあるのは水。

見えないけれどそこにあるのは光。

見えないけれどそこにあるのは風。

自分の中が波に満たされている。

二つのものが出会う季節。

それは太陽の季節から月の季節への移り変わり、

太陽は次第に天空を低く駆けるようになり、

次第に高く昇り始める満月と交差する。

太陽は交差する中で、

満月に自分が照らした世界のイメージを手渡し、託す。

月の祭りがやってくる。

 

PS.
前回の5枚目の写真の私の位置は、

中央部の影が分かれた所の左側の影の上の方の光の四角の中にある点です。

わかりますか?

 

2009.10.02.

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