144 星の話・6

「次の部屋、何だろう~?」

「えっと、なになに?」

「惑星の運動会?」

「惑星って、運動会するの?」

「どんな格好してんのかな?」

「楽しみ、楽しみ」

「やっぱりね、夜だよね。」

「えっつ! この運動場結構広いじゃん!」

「あっ!トラックの周りには12の星座が座っている!」

「客席は真ん中?」

「だよね〜。普通じゃないはずだよね〜。」

<銀河サイダー、銀河サイダー…>

「サイダー売ってる!なんか、わくわくしてきたら喉乾いちゃったし、飲みたいな~。」

「でも、絶対、変な飲み物なんだから。」

「おじさん、おじさん、それ飲んだらどうなるの?」

「ソウダーね、しばらく銀河時間になる。一年間が一分間にかわるんだソウダー」

「そんなことだと思った!」

「おまけにサイダーの洒落じゃなくてソーダになってるし。」

「じゃー2本ちょうだい。」

「うん、結構おいしいね!」

ターンタラタン タラタンタラタンタンタンタンタン…

「今日は待ちに待った銀河運動会の日でーす。

良い星空に恵まれ、絶好の運動会日和でーす。

登場するは、一週間で有名なお日さま、

お月さま、火星、水星、木星、金星、土星です。

これから、黄道12宮トラックを駆け抜けていただきます。

走られる皆さんは、スタートラインにお並びください。」

「えーっ、みんな鉢巻きしてるじゃん!

あれ?パパパパー、あの忍者みたいに黒い服を着て、金の鉢巻きしているのだれ?」

「たぶん、お日さまだと思うな、眩しすぎるから、着せられたんだと思うよ。」

「そのそばのほそっちょさんは?」

「あれは、お月さまだと思う。」

「お月さまはお日さまのそばに来るとほそっちょになるから。」

「あんなんで走れるの?」

「心配だなー。」

位置について、ヨーイ、パーーン!!

皆さん、一斉にスタートしました。

オッと、先頭に出たのは、ほそっちょお月さまです。

銀の鉢巻きをたなびかせ、いきなりみんなを引き離します。

後は団子となって進んでいます。

おお、お月さまみんなを引き離すなり、太ってきました。

半周引き離したところで真ん丸になりました。

夜の大王にふさわしい姿です。

ほかのみんながやっと次の星座にたどりついた時に、

お月さますでにトラック一周してみんなに追い付きます!

おっと、また細った!

「何これ? お月さま早すぎじゃん!こんな運動会ありー?」

「でもお月さん面白い。」

皆さんの注目は、すでに次の集団に移っています。

次に躍り出たのは、われわれのお日さま、

黒い服の裾を引きずりながらも果敢に安定したペースで走っています。

そのそばを並走しているのは、水星です。

きらりと輝きながらちょこまかと小粒の山椒のように

お日さまを追い越したり、後ろに付いたりしています。

よく見ると、お日さまの足元をくるくると回っているようです。

まるでお日さまにじゃれついている子犬のようです。

そのそばにやはり並走しているのは、美の象徴の金星です。

水星とは違い優雅にそばを走っています。

トラックを一周過ぎたあたりで金星突然お日さまを追い越しました。

おっと、かなり先まで追い越した後、突然Uターン。

お日さまをぐるっと回ります。

「金星も、水星のまねしてんの?」

第2集団に目を向けてみましょう。

後は集団とは言えません。

みんなあきらめムードが漂っているかのようです。

それでも、火星は何とか頑張っています。

火星、立ち止まりました。

何しているのでしょうか?疲れたのでしょうか?

満月のお月さまから光を貰っています。

大きく明るく輝きました。

見違えるようです。

元気が出た模様です。

エネルギーが切れたしまっていたのでしょう。

また走り始めました。

「えっ? 走りながらお腹すくの?」

木星と土星はどうしているのでしょうか?

ほとんど動いていないかのようです。

お日さまが一周する間にやっと一つの星座にやってきています。

体が大きいからでしょうか?

もうすでに立ち止まってお月さまから光を貰っているようです。

「えーっ?ほとんど食べてばっかりじゃん」

土星はほとんど動きません。

それでもお日さまと離れるとお腹がすくのでしょう。

立ち止まっておつきさまから光を貰っています。

お日さまに二回ほど追い越されてやっと次の星座にたどりつきました。

「ああ、もうだめ!土星が一周するまで待ちきれない。」

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