145 星の話・7

星たちの運動会終わったね。

なんだか、とっても面白かったね。

星のお弁当とかも、出てきたらよかったな。

星、動いていないね…

ねえ、パパ?

みんな、どうして星に興味があるんだろう?

そうだね、分んないね。

パパ、昔さ、よく人がいないところに行って、

寝っ転がっていたことがあるんだ。

そしたら、星が周りを取り巻いてくれていて、

とっても心地よくなったんだ。

星座のこととか、星が一緒に動いてくれているんだ、

とかわかっていなかったんだけど、

なんか、本当の自分に戻ってくるところがあってね。

それでこう考えたんだ。

 

寝っ転がっているベンチの周りには、

木や草があって、

動物たちがいきていて、

離れた所には家もあって、

人が暮らしている。

 

その上には空があって、

そこには生き物は住んでいないし行くことはできないし、

とっても寒いところで空気も薄いから、

そこで生きることはできない。

おまけにそこにいたら落っこちてしまうよね。

でもここから眺めていると、

雲が流れたり形を変えたりしている。

おまけに朝やけや夕暮れの美しい色合いがあるし、

きれいな虹も掛ることもある。

それらのものが移り変わっていて、

一度として同じ色合いは生まれてこない。

 

そして、そのはるか彼方には暗闇の中に星たちの世界があって、

飛行機でも行くことが出来ない世界がどこまでもどこまでも続いているんだけど、

星たちはそこから眺めてくれているってね。

 

それって、自分の心みたいだって思ったんだ。

自分の心の表面には、

いろんなことに対応しなきゃいけない部分があって、

周りで起きたことに、反応しながら生きている。

それって、自分の身の回りの景色みたいだなって。

 

でもその心の奥のところでその日の気分とか、

ずっと続いている気持ちとかがあって、

それって空の世界に似ていると思ったし、

自分の中のもっと深いところの、

自分でもまだ、見えていないところって、

なんだか暗くって遠くって、星の世界のようだって…

だからさ、星の世界を眺めていると、

たぶん自分のいちばん深いところと出会うんだろうなって。

 

パパ、人が死んだら星になるって、本当?

それはね、ボクにもわからない。

あのさ、考えていたこと、もう一つ話してもいい?

こんな風に考えたことはあった。

ある人と生きているじゃない。

その人と一緒にいると、その人の声や、表情が相手からやってくるじゃない。

それが、印象になって、自分に入ってくるだろう。

その人と離れると、こんなこと言ったな、こんなことで笑ったな、

こんな表情やしぐさをしたな、って思い出すよね。

そして、自分の中にその人のイメージが出来てくるよね。

次に会ったときに、自分の中に相手に対するイメージがあるから、

あれ?こんなこと言うんだって驚いたりね。

そうしながら、相手のイメージが自分の中でより出来上がっていって、

こういうとき、どう感じるかな?

どう考えるだろうな?どう行動するかな?って考えたりするようになる。

それで、あるとき、こう考えたんだ。

 

自分が会っている相手はどこにいるのかなって。

目の前に相手がいるんだけど、

自分の中にももう一人の相手が生きていて、

自分の中の相手は、

目の前の相手から栄養をもらって生きているって。

それでさ… 目の前の相手がいなくなったとするよね。

そしたら、自分の中の相手は今度は私の中の深いところで生き続けるってね。

その深いところは星の世界とつながっているって思ったんだ。

そこでその相手は、ボクに話をしてくれて、

こんなときはどうしたらいいと思う?って聞くと、答えてくれるんだ。

もういいかげん自分で考えてみたらって…

ふーん、そんなこと考えてんだ…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です