163 星の話・24
「地球は太陽や月やその他の星たちの引力を受けてそちらに引っ張られて動きながら自由だってどういうこと?」

えっつ? 頭痛から解放されたの?

「何言ってんのよ。それ、いつの話?」

「お陰で、気になって眠れない。」

「影響受けて引っ張られているのに自由ってどういうこと?」

自由ってことは他の引力の影響を受けないってこと!

「……」

「からかってんの?」

ちがう、ちがう

人工衛星知ってるよね。

地球の周りをまわっているもの。

人工衛星の中って無重力状態だって聞いたことあるだろう?

無重力とは重力がない状態だっていうわけなんだけど、それじゃ地球の引力が働いていないか、というととても強く働いているんだ。

働いているから、すごい速さで飛びながら地球から飛び出さないで周りをまわっている。

強い力を受けながら、それに影響されながら飛んでいる。

でも、影響の通りに行動することで、動いているそれ自身には影響を受けなくなるんだ。

それで、人工衛星の中にいる人たちは、他からの引力の影響を受けず、人工衛星の重力しか受けなくなるんだ。人工衛星の重力なんて小さいから、感じないってわけ。それで、自分はどこにも引っ張られていない、って思いながら過ごせるわけ。

同じように、太陽の周りをまわっている地球も、周ることで太陽の影響を受けなくなるし、月に合わせて少しお尻を振ることで、月からも自由になっている。

「それじゃ?周りに影響されないでじっとしていると、周りの影響を受けて、周りに影響されて動き回ると、自分自身は影響されない、って言うわけ?」

そう、少なくとも地球は一緒に動きまわることで周りの影響から自由になっている。自分は何にも影響を受けていないと感じながらね。でも、周りから見れば動きで影響を受けて動いているのが分る。

「それじゃ、聞くけれど、周りの影響を受けていないならどうして潮の満ち引きって起きるの?」

「月の引力のせいだった言うじゃない。」

「満月と新月の時って大潮になるし、半月の時は小潮になる。」

「ほら、やっぱり、影響受けてるじゃん。」

……

いいところに気がついた!

「なに、それ?」

「苦し紛れ?」

心の揺れ!

「パパの?」

地球の!

「…」

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