164 星の話・25
「最近、言い訳多くなったね。」

何の?

「心の動揺の」

ああ、あれね。

地球のね。

「そう、月の影響を受けないようにお尻を振っている地球が、どうして月の影響を受けて心が動揺するかってこと?」

動揺するって言ってないよ。

心が揺れるって言ったんだよ。

「同じようなことだと思うけど。まあいいや、それで?」

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そう、地球自体では月の引力の影響を受けていないけど、月に近いところと、その反対側で微妙に月から引っ張られる力の違いが生まれるんだ。

月に近いところでは他のところよりほんの少しひっぱられる力がつよくなる。そして、ほんの少し地球の重力が弱くなる。

月から一番遠いところは他のところよりほんの少し、月が地球の方に引っ張る力が弱くなる。そして、地球の重力が弱くなる。

その他のところは、地球の重力が弱くなったところと比較して、ほんの少し重力が強くなる。

もちろんこの重力の違いって、まったくっていいくらい小さなもので、誰も感じることが出来ない。

でも、海の水はその小さな力を感じ取って、自分自身を持ち上げるんだ。

重力が小さくなった分だけバランスを取るためにね。

そうして、周りから海の水が集まってくる。

だから、潮の満ち引きは、微妙な重力の揺れを表していることになるんだ。

水ってものが存在しているおかげで、目に見えないものを見えるようにしながら、偏りのバランスをとっているんだ。

別に焦っているわけじゃないし…

「なんだか、やっぱり難しすぎて、けむに巻かれているような気がしないわけではないけれど、要するに、他の影響を受けない存在も、それぞれの部分を見れば、その違いの中に他の影響を見ることができるってわけね。」

「何よ…」

わかっている…

「ところで、無重力はどこ?」

えっ?なんのこと?

「だって、周っているものって、無重力になるって言ったじゃない!」

「どこかに無重力の場所があるの?」

宇宙船のように周っていて無重力状態になってもそれ自体の重力を受けているってことでしょ?」

冴えてる!

今日はどうしたのかな?

冴え過ぎてる!

もちろんあるとも!

それは、地球の中心。

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もし、地球の中心に穴を掘ることが出来て、そこにカプセルを入れてその中に入ると、その中は無重力…

もちろん、そんなことはできないけどね。

「でも、そうだとしても、自分自身の重力があるじゃない…」

さ、冴え過ぎ!

じゃー、その人の肉体の中心は無重力さ。

ぽっかりと空いた心の穴…の中は無気力〜

「あーあ」

「で、そのぽっかりと空いた中心のところにいる無重力の中に漂っている人って、地球の動揺、感じるの?」

・・・・・・?!

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