177 光と色の話・自己研修版

今年の夏は自己研修はあきらめていたのですが、光と色の話も書いていますし、奮起して自己研修に行ってきました。

自分で目的を決め、出かけていくのはなかなか難しいのですが、がんばって出かけていきました。

出かけた先は金沢の21世紀美術館。

ミュージックケア協会のお膝元金沢で、何度となく大会が金沢で開かれていたので、今年こそ、今年こそはと待ち望んでいたのですが、何年たっても金沢での開催がなく、来年は横浜、ということでとうとう痺れを切らして出かけてきました。

21世紀美術館というとジェームス・タレルの数少ない作品が展示されているところです。

今回は、天井が四角にきりとられた窓から空を見るという体験インスタレーションの三回目です。この場所で、とりあえず日本にあるタレルの作品をすべて網羅したことになります。スタンプがあればすべて集まって、何か記念品がもらえる感じです。

11月に開かれるシュタイナー教育公開研究会のテーマを考えながらの旅となりました。

いろいろ考えた挙句、虹の話をしようと決めかけていました。何度か話をしているのですが、3月に逗子で行うはずだった虹のテーマの講座が震災と原発事故で中止になっていて、その時のテーマについて話をしてみようと思ったところでした。

一般人間学の第8項のテーマが人間の感覚だったので、テーマにも即していると考えました。

金沢駅について私を待ち受けていたのは、光の輪でした。

デパートの入り口の床に光が当たっていたのです。すぐさまスポットの当たっている面は楕円形になるという思いを持ち眺め始めました。

そしてつくづく「この光はきれいな丸い形をしている」と思い、いったいどこからこの丸くてシャープな光が来るのだろう、と天井を探してみました。ところがいくら探してもその場所が見つからないのです。

「初っ端からこれか。」と金沢の歓迎を喜びながら、いろいろと思いを巡らし始めました。

「色が塗られているのだろうか?」「それにしては、表面の変化がない…」写真を撮りつつ、ぶつぶつ呟きながら、うろうろしながら。

そして、結論を出したのです。「これは描かれたものだ。それもこの私をも欺くような最高の精密さで…」「誰だ、こんな仕掛けをするやつは…」「水戸岡(さん)ではないし…」

そして、ちょうど近くにいたガードマンのおばさんに聞こうとして近づいていったら、おばさんは向こうに行ってしまいました。

誰か、いねーか?と探していると、ちょうど職員のような女の人が近づいてこられたので、しめた、と思い話しかけようとすると、先に先方から話しかけられました。

「ここでは写真撮影は禁止です。」「は、はい…すみませんでした。」さっきのガードマンのおばさんが係の人を呼んできたのだということが分りました。

ひるまず、「ところでこの光の輪のように見える物は誰の仕業でしょうか?」と聞きました。

いつものように、「そんなことわかりません。」とつっけんどんに言われることを想像しながら。

その方は意外にも答えたのです。「それはですね…」と

驚きながらその話の先を期待しながら待っていると。

「マネキンの台があったのです。」

「…?」

なんと、開店当初から4年間ほど円い台がそこに据え付けられていて、ほんの一月前に取り外されたとのことでした。

光が当たっているところと当たっていないところで色が変わってしまったのです。

唖然としながらも次の21世紀美術館に向けて出発しました。

そこでは、虹と彩雲の熱烈な歓迎を受けて、やはり虹について話をしようと決心しました。

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