ボーッとしてない…
真剣に考え事してる。
「えっ?ボーッとしているようにしか見えないけどなぁ…」
「なに考えてるの?」
今度講座をやる虹の話
「また、虹の話。よく飽きないね。同じ話ばっかりして。」
…
聞く人違うし…
それに、虹の話は毎回同じ話じゃないし…
毎回出てる虹、違うし…
遠くの山に出る虹、湖の上の虹、町の上、木の上、朝の虹、夕方の虹、家から眺めた虹、ナイヤガラの滝の虹、噴水の虹、ホースの虹、それぞれの虹の話をすれば無数にできる。
「やけになってない?」
神さまの話を人の数だけできるのといっしょさ。
「…」
「じゃあ、今度はどんな話するの?」
そう、今まで何度か話してきたからね。同じ話しようかね。虹の紹介。
ただ、虹を紹介したいんだ。
だって、虹ってきちんと紹介されていないと思うから、丁寧に紹介したいと思うわけ。
とっても素敵なんだけど、内気で口下手で自分のこときちんと表現できない人っているじゃない。
…例えば、パパなんか…
「あの…」
「そんな話挟むから、訳分からなくなるんだ…」
例えば、虹の輪の色の紹介。
虹の色ってなんだか知ってる?
「それは空気中の水滴が色づいているんでしょ?」
その色はどこから?
「もちろん太陽の光が水滴の中で屈折して輝いているんだよね。」
じゃ、そこにあるのはなに?
「なに?って…言っていることが分らない?」
それを紹介したいんだ。
例えば、虹の赤い色があるとするよね、その赤く輝いている粒を水晶球やもっともっと大きくしていくと、それまで全体が赤く輝いていた球の一部が赤く輝くようになる。
そして、最後には球の一部に赤く小さな丸い点が見えるようになる。
よく見るとそれは太陽が映り込んだものだということが分る。水滴の中を太陽の光が通り抜けることで太陽は自分の進む道筋を変えたんだ。その行為が赤い色として現れているのさ。
それぞれの場所の水滴はそれぞれの場所でお日さまの光を通してそして方向を変え色づきに変えている。虹の見えていない場所だって方向を変え、色合いを変えている。
「じゃ、どうして虹色に見えないの?」
そこでは太陽が虹色に色を変えている。だから遠く離れたら全部の色が混じって白い色にしか見えない。
太陽は水滴に出会うことでその道筋を変えたんだ。そして、水滴の中に自分自身を表しているというわけ。まるで、水滴に魂を与えるように。
そして、それぞれの場所で自分自身を変えながら、指し示してるんだ。
「なにを?」
虹の輪の中心にある存在を。
「それって、自分の影っていうこと?」
そう、太陽の光はそれぞれの水滴の中で、私の進む光の道を、色合いに変わりながら、祝福ととともに指し示しているんだ。
それぞれの人にそれぞれの道を、それぞれの虹が。
「そっかぁ、人の数だけ虹があるなら、虹の話まだまだたくさんできるね。」
「みんなに伝わるといいね。」