185 光と色の話・15
「お正月過ぎて雪降ってきたね。」

「北の国では、もうしっかり冬景色だろうね。」

はなさかじいさんが灰じゃなくて、雪をまいて、木々に雪の花を咲かせている感じだね。

「お正月って、白い色が似合うよね。」

「鏡餅も白いし、しめなわについているギザギザの紙でしょう、神主さんの服もそうだし、お払いの時に神主さんが振る紙がたくさんついているのも白だし、」

「めでたい出来事って、白い色が多いよね。」

「結婚式の花嫁さんも白い衣装だし。」

めでたい、だけじゃなく、お葬式なども白い色を使うし、白は儀式のときに使われる色だよね。

どうして、白い色が使われると思う?

「花嫁さんは白い色を着てお嫁に行くことで、今まで持っていたものをすべてなくし、自分の色をなくして嫁ぎ先の色に染まっていくという意味を聞いたことあるけど…」

紙は白い、上は白い、神は白い…

みんな神さまと関係あるものは白いんだ。

「なんか、それって、ダジャレみたい…」

「じゃ、髪はどう? 髪は黒いじゃん。」

年をとると髪も黒から白くなる。神さまに近くなると白くなる。

それに、黒も白もおなじ色だし…

「開き直り?」

いやいや、そうじゃないし。

昼間のお日さまの下で見る黒い色の物をそのまま夜の電灯の明かりのところに持ってこれるとして、白い色の物と比べると、昼間の黒い色の物が夜の白い色の物より白くなるんだ。

白い色も黒い色も本来は同じ色で、両方とも光の色を表している。

光の色とは、上から降り注いでくるもので、白い色の物を見ることで、空から降り注いでくる神の色を見ることができるわけさ。

私たちの上(かみ)にあるものは、雲の白と空の黒(闇)だけで、白い色で成り立っている。

地上にある白い色は、上の世界から下りてきた物で、それを見ることで天の世界のことが分る。神社に置いてある鏡も神を映すもので、銀鏡という字をしろみと呼ぶところさえある。

白い色を眺めることで、神の世界の色合いを確認し、自分自身をその色で染めることで、清めていくんだと思う。

冬になると、地上は上から下りてきた白い色で覆われて、すべては清められていく。田や畑や、山や木々や家や。

「お正月から、訳分からない!」

「頭の中も真っ白になっていく…」

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

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