194 ヨーロッパ研修・4

日々、分ったように暮らしている中で、一日の中で起きてくる同じことを当たり前のように、これまでの経験を使って余裕を持って鼻歌交じりでこなしてきている中で、自分自身の問題点に気づかずに過ごしている中で、未経験の物に向かう時に、その人の内的な方向性と問題点が明らかになって来るように思います。どうして、そうしてまで、自分の方向性を知ろうとするか、は謎ですが… どうしようもない劣等感を抱えて、少しでもよくなっていこうと考えていた子ども時代を引きずっているのかもしれません。もちろん、日々の暮らしの中でも未知の出来事に出くわすことがあります。そんな中で、少しでも良い判断が出来るように、自分が創造的でありたいと思います。シュタイナー教育の目標の一つに、<子どもが大きくなって、未知なものと出会ったときに、それに対して創造的に関わり自分の世界を形作っていく>ということが挙げられています。

ただ、大人になって未知なものに出会うと、今までの経験が生かせず、おろおろカッコ悪い醜態を見せてしまわねばならず、威厳も何もなくなってしまうので、ついつい億劫になってしまいます。時折、果敢に未知の世界に飛び込んでみるのも必要かもしれません。

2年ぶりの未知の世界はギリシャから始まり、パリ、ロンドンで終わりを迎えました。

未知の世界に向かうときは、メルヒェンから学んだ知恵があります。一つは、小人さんの言うことに謙虚に耳を傾けること、最初に出会ったものを大切にすること、勇気を持って進むこと。

これらの知恵を携えて(肝心な時には忘れがちになるんだよね)進んでいこうと思います。

空港で出会った小人さんに助けられてギリシャ滞在をつつがなく終わったかのようでしたが、突然危機は訪れます。もちろん、事前にちゃんと転ばぬ先の杖で準備をしてれば問題のないことではあります。ギリシャのホテルにもう一泊しようとして部屋が空いていないと言われ、それじゃ、とこのホテルを紹介してくれた近くの旅行社に飛行機のチケットを買うのも含めていこうと考えました。ギリシャは夜も眠らない街だから(空港での知識)と、博物館をめぐって着いてみると、シャッターが下りており、土日は休みと書いてありました。ホテルの予約どころか、ドイツ行きの飛行機の予約も取れません。ピンチ!とばかり、呆然としながらホテルに戻って、どうしたらいいでしょうと聞きました。すると、「インターネットで調べたら?」という答え。「どのように?」ときくと、とにかく「インターネットで検索すればいい。」「航空券はどこで買えるだろうか?」ときくと 「インターネットで探したら?」

「外国でインターネットを使ってホテルや飛行機便を探すなんて…それも、英語で?!

これは、小人さんの言葉なのだろう。たぶん。冷たいんじゃなくて、優しい愛の鞭なのだろう…。」

好意的に解釈しながら、絶望の中、インターネットで探すこと・・時間、やっとの思いでホテルと航空券をゲットすることが出来ました。もちろん、小人さんにはお礼に日本のお菓子を差し上げました。なぜもらえたかのか、当人はわかっていなかったと思いますが…

次の日、ルンルンで別のホテルを訪ねると、「あなたの予約は入っていません。」とのこと。

「それよりも何よりも問題は、今日は部屋が空いていないことです。」…またか!!

予約確認のメールを見せると、「それでは、別の提携ホテルを紹介します。ここよりランクが上のホテルですが、そのままの料金で構いません。そこまでのタクシー代もこちらで払います。」と言われました。

一安心して、パルテノン博物館を見た後に荷物を持って、タクシーに乗りました。

タクシーに乗ってドイツ語の話せる運転手と会話を楽しんでいると、1キロメートルほどしか離れていないはずのもう一つのホテルに走れども、走れども辿り着かないではありませんか… あっちから入っては車がいっぱい駐車していては入れずに別の狭い道へ、という走りを繰り返しながら運転手の口からはいつしか理解できない独り言とも罵声ともいない言葉が始まり、とうとうレストランのテーブルの間を走るという、映画のカーチェイスさながらの状況…?? またか!!どうなるんだろう??

突然車が止まると、「ここがホテルだ!」とニコッとして言いました。「考えられない。たった1キロメートルほどの道を・・・」という言葉を残して走り去っていきました。その間20分ほどのお楽しみでした。

ところが、最後に、それを数十倍上回ることが待ち受けていようとは、知る由もありませんでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です